宇宙蛙物語

□クルル 「あなたは私の憧れです」 であります!
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午前4時。奥東京市上空にアンチバリアを張ったケロン軍中型円盤が舞い降りた。その中にある書斎の扉を、軍服を着た青年がノックする。


「入れ」


扉と言う一枚の壁を通しているためか、くぐもった声が青年の耳に届く。


「失礼します」


そう言って扉を開けると、1人の男が書斎机の椅子に腰掛けていた。
歳は20代後半から30代前半といったと頃だろうか。

少し長めで、光の加減によっては銀色にも見える髪を荒めのオールバックでまとめている。

フレームの細い、四角い黒ぶち眼鏡を掛け、その奥にある瞳は地球の宝石、アメジストを思い出させるような紫色だ。


一見マフィアのボスのようなこの男は、誰の目から見ても明らかに青年とは格が違う。

男はうっすらと笑い、青年に報告を促す。青年は敬礼し、そのままの姿勢で報告し始めた。


「たった今、あの方が滞在していると見られるペコポン上空に到着いたしました。ワルル少尉」


ワルル少尉と呼ばれた男は、青年の報告を聞くと静かに眼を閉じた。


「・・・ご苦労。ただちにあいつのいる場所を突き止めてくれ」


「わかりました」


そういうと、青年は一礼して部屋を出た。青年の足音が聞こえなくなると、ワルルは立ち上がり、すぐ後ろにある窓から街を見下ろす。


「ようやくお前のところまでたどり着いたよ・・・」


そう言って、ワルルは口元を嬉しそうにゆがめた。まるで、獲物を狩る獣のような目をぎらつかせて。
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