*小説*

□女子的恋愛観 傷
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「毎度〜」

「はぁ〜。食べた食べた!!」

「乱菊さん今夜はご馳走さまです」

七緒がぺこりとお辞儀をする。

「いいのよぉ。あたし先輩だしね!ほらもう一軒行きましょ!」


今日はもう何時ぶりか
わかんないくらい久しぶりに驕っちゃった。

っても飲んだり食べてたのは
殆どあたしだけだったけどね。



「誘って頂いて申し訳ないのですがそろそろ帰らねば兄様が心配なさるので…」

「えーっまだこんな時間なのにぃ。夜はこれからよ!」

「すみません」


本当に申し訳なさそうな顔するもんだから
強引に連れて行けないじゃない。
やっと松本副隊長から
乱菊殿って呼ばれるようになって
仲良くなったのに。


「じゃあ七緒!」

「すみません私も…」

「なんであんたまで」

「まだ今日の分の仕事が終わってなくて…」

「いつもその日のうちに終わらせちゃうじゃない」

「そうなんですけれど今日は仕事が多くて」

「何よぉ。皆つれないわねぇ」

「また今度誘って下さい」

「はいよ。気をつけて帰りなさいね」


朽木も七緒もそれぞれ朽木邸、
七緒番隊舎へと帰って行った。



あたしは飲み屋の真ん前で
一人ぼっちだ。

はあっ。七緒のやつめ。
あたしより京楽隊長を取ったわね。

七緒が仕事終わってないなんて
あるはず無いんだから。
明日問いつめてやらなくちゃ。





それにしても恋次はまだ
付き合ってなかったのね。


『恋次は良い幼なじみです』


なんて断言してたし自分を好きだなんて
夢にも思ってないわよね。

恋次がヘタレで朽木が相当鈍感じゃ
一生恋次が悶々としてるだけで幼なじみ
止まりなんて展開に
ならないようあたしが
直々にハッパかけてやるわ。

今週ちょうど副隊長会議
あるみたいだし久しぶりに
行っちゃお。


「ふふっ。でもこのまんま帰るのなんかヤダし修兵でも誘って飲むかぁ」

もちろん今度はあっちの驕りで。
わざわざ呼びに行くのは面倒だから
鬼道でちょこっと……






「ボクは誘ってくれへんの?」

「おぉう!」

思いもよらなかったあいつに真後ろから
話し掛けられて
つい大声で叫んでしまった。

「ギン!」


「その驚き方は無いやろ…。もっと上品に声あげぇや」

「うるさいわね。あんたがいきなり来るからよ」

「あはは。すまんすまん。しばらく振りに乱菊に会ったから興奮してもたんや」


本当はしばらく振りなんかじゃなくて
瀞霊廷の中では
すれ違ったりしてる。

でも護廷十三隊の隊長と副隊長が
仲良いなんて変な噂が立ちかねないから
会っても会釈をする程度にしている。


ギンはそんなあたしの
気遣いを知って人目につかない
こんな夜更けに来てくれたんだと思う。


「そりゃ有り難いわね」

「で、誘ってくれるのん?」
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