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□スイートバレンタインB
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 「やったぁ!出来たわ!!」
ラッキースプーンの厨房から、エレンの嬉しそうな声が響く。
彼女の手には、手製のカップケーキが乗った皿があった。
「食べてみてくれる?」
エレンは奏、響、アコ、ハミィにひとつずつ渡す。4人はそれを口に運んだ。
「どうかな・・・・・・?」
エレンは皆の顔色を遠慮がちに見た。まずかったらどうしよう、そんな不安が彼女にはあったのだ。
「すっごくおいしいにゃ〜!」
この空気を打ち破ったのは、ハミィの歓声だった。エレンはホッとした。
「本当、凄くおいしいわ!」
「奏のに負けないくらい最高!」
「私も、良いと思う」
3人は次々に絶賛した。その言葉を受けたエレンは、泣きそうなくらい嬉しかった。
「ありがとう、奏!」
エレンは奏の手をとって言った。
「エレンが頑張ったからよ」
奏は優しく微笑んだ。
「さっすがセイレーンにゃ〜!」
「おめでとうエレン!」
皆で盛り上がるなか、アコは一人輪から外れた。
「アコ?」
響がそれに気づき、声を掛けた。
「アコは出来た?」
奏はアコに尋ねた。アコはふいっとそっぽを向いた。その顔はほんのり赤い。
「もしかしてこれかにゃ〜?」
ハミィが発見したのは、綺麗にラッピングされた、4つのカップケーキだった。
その出来は見事なものだ。もともと手先が器用なアコは、初挑戦のカップケーキも難なく仕上げたのだった。
「アコすごーい!」
「さすがアコ姫!」
「わかったから!あんまり言わないで!」
皆の言葉に照れるアコ。
「さて、揃ったことだし、ちゃんと渡さないとね♪本命の彼に」
奏の言葉に、エレンはまたボフッと湯気を噴いた。
「さ、外に出て♪」
響はエレンの背中を押し、店の外へと連れ出した。
「ハミィ!」
「おまかせにゃ!!」
響に合図されたハミィがいつもの呪文を唱えると、虹色の鍵盤が姿を現した。
「行きましょ!」
奏がエレンの手を引いて、鍵盤に飛び乗る。それはいつぞやとは真逆の光景だった。
「いざ、メイジャーランドに!!」
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