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□1:わがままを黙らせる
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 しゃれこうべは黙して真実をゆっくり伝え、少女はマシンガントークの裏に秘密を隠している。

「で、ウソップの釣ったこんな大きい魚がルフィに噛み付いて、」
「……」
「逆ギレしたルフィが魚をぶっ飛ばしちゃって、結局私たちはまた食糧難に陥っちゃったってわけ」
「……ナミ」
「それでこっからが笑えるんだけど、」
「ナミ」
手を止めて顔をあげた、その顔が真剣だったのでナミは一瞬口をつぐんだ。
怒っているのは見て明らかなのに、ロビンは何も言わない。状況を読み、無駄な言葉は使わないのがロビンの美意識。あなたなら分かるでしょう?頭のいい子だものね、とでも言うように、ナミにもそれを強要した。
「別にいいじゃん、聞き流せば。」
不機嫌なロビンを警戒しながら、おずおずと口を開く。
「夢中なんでしょ。聞こえないんでしょ。」
反応を伺いながら、笑うような怒るような顔を一つまみずつ振ってみせた。ロビンは相変わらず、手元に広げた今日の戦利品に向けていたのと同じ、真剣な顔。ナミにしてみればロビンが相手取っているしゃれこうべと同じくらい読めない顔で、いつもなら大人しく眺めていた顔だった。遺跡帰りの夜は仕方無い。
「……怒るときだけ名前呼ぶなんて、」
小さく小さく愚痴を言って、なんてわがままなんだろうと自分で判断できる。


風を浴びに外に出てみたら真円の月が浮かんでいた。
月が明るすぎて星が見えない。星を頼りに海を進んでいるわけでもないのに、それはひどく自分を不安にさせる。

そんな曖昧な不安を言い募ることもできなくて、安っぽいわがままでごまかしている。
ささやかな秘密、先走る唇の裏に隠した夜更け。


「ていうかここは私の部屋でもあるんだから、いいじゃない、独り言くらい。そうよ、独り言よ。」
「しゃれこうべは黙して真実を伝える」
言い訳がましくぶつぶつ言うナミをロビンが遮った。
「だから好きなの」
「……知ってるわよ」
だから邪魔しないで、でしょ。
いい加減わがままを打ち切り聞き分けようと、ナミが奥歯を噛んだ。子供っぽい不安を噛み潰すように。
「この指が、秘められたどんなささいな真実も暴くのよ、ものすごい快感だと思わない?」
隣に座り込んだナミの頬を撫で、反対の手で裾から腹へ手を這わせていく。
「ちょっとなにしてんの、ロビ…、」
上ずった声をあげかけた唇を掌で遮って、ロビンが薄く微笑んだ。
「黙って、続きは体に聞くわ」
「……ま、待ってロビン、や、……あ、」


しゃれこうべは黙して真実を語り、マシンガンを取り上げられた少女は両手をあげ秘密を明け渡す。



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エロビン!(他にコメントは…)

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