れんさい

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京介の目は驚愕のあまり、見開かれたまま硬直した。
「野草の神、白竜に聞いたんだ」
在るのを知ってないと見えない神社があるんだって
そこには桜の樹一本残して
「何にもない空き地なんだって」

驚いた?
「でもね、俺も初めてここに来たとき何にも無かったな」
って思い出したんだ。
「そんなはずない!!神社はここに!?」
京介は辺りを見回して愕然とした。
「白竜の話を聞いてから俺がずっと見ていた現実だよ」

広い土地に基礎のみが残っている
唯一変わらないのは遅咲きの桜があること
「俺はずっと幻覚を見せ、見ていたのか」
「うん。とっても高性な」

京介が崩れた
キーンと音を立てる金の柱の中で。
「神の運命も決められているのかもね」
天馬は一歩柱に近づいた。
そして出雲に向かう時の様に勢いよく飛び込んで、京介の手を取った。
「そいっ」


「ねぇ白竜、そんなにショックだったかい?」
草花が枯れて散るかの様に倒れた白竜をシュウは掻き抱いた
「君には消えないでいてもらうつもりだったのにね」
季節関係無く咲く紫苑の花の上に寝かせて離れる。
消えゆく神に再会をと望まれて行ったまでだった。
計画は壮大だったが、何の障害もなくここまできた。
信助の着いた家主の運命を転がし放浪させている。
家のない座敷わらしの運命は決まっていた。
「白竜、君のためにここから別のシナリオを考えないと行けなくなっちゃった。」
金の柱が構築された。
バイバイ白竜。
「また会おうね」
それが僕の決めたシナリオだから。
シュウは島に戻った。
そこはかつて自分が祭られていた島。
「ここが再会の場所になるよ」
シュウは奇妙な形を模した石像に触れ消えた。


−−−−
「天馬、こっち向いてー」
母親が人形で気を引こうと、母親に似た強い癖毛の子供を呼ぶが、はまるで聞く様子がない。
「もう、写真撮らせてって」
それでも子供の視線は女の子の履くぽっくりに注がれ続ける。
「後で写真館行くからそこで借りて履いてみようか?」
母親の提案に顔を明るくした子供は、おとなしく写真を撮られた。

その親子の横を藍の髪を持った兄弟が通った。
「兄ちゃん!あれ!」
「ぽっくりって言うんだよ」
弟が女の子はきれいなお靴だねと言うのを父親が聞いていた。
「京介も好きかぁ、優一も履きたいって言って聞かなかったよな」
「兄ちゃんも?」
兄はふてくされて弟の手を取ると、制服を着た少女の横を走りさった。

「天馬!」
制服の少女は母親と歩く癖毛の少年を呼ぶ。
「秋姉!」
「久しぶり!!」

カランコロン
藍の髪の兄弟と癖毛の子供。
八百万の神々の行き着いたところ。

互いがもう一度出会うのはもう少し先の話し。


END

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