れんさい

□6
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金に光る柱が立った。
それもまた多数。

嫌な感じが典人が振り替えるとすぐそこにも柱が立っていた
「海士!」
最後まで笑顔でいようとしているのか笑いながら何かを言って指差す。
「海士くん!ダメです!ダメですよ!」
必死に呼び掛けて柱から出そうとする鶴正を典人は制止した。
「行こう。」
最後まで見ていられなかった。
見るだけの度胸が無かった。

そんな2体の神が遠くなって行くのを最後まで見送った海士は、目をつぶり光に呑まれた。


天馬にとって白竜は相談相手だった。
全部わかってくれるわけでないうえ、特別素敵な助言をくれたことなど一度だってない。
しかし天馬の知る限り、京介の不安定差を一番理解しているであろう神だった。

ぷつり。
ススキの茎を切って天馬は白竜に見せる
「不幸の神のお前にそれは不釣り合いだ」
すかさず刺だらけの栗みたいな言葉が飛んできたが、天馬にさして気にした素振りはない
「ふわふわしてかわいいからいいんだ」
「すくすくと成長する縁起のいいものが好きか」
白竜は辛そうにした。
そして何時もの話を始めた
「京介は蹴鞠の神が消えた時の事を憶えていない。」
天馬はススキの穂をちぎった。
京介は突然光に包まれて消えたと言っていたが、実際は違った。
京介が柱に包まれたのを救けて消えた。
柱から押し出したのだ。

「京介は自分の所為だっていう記憶を書き変えたんだよね」
そのおかげか今まで迷宮入りすることなく、4年が過ぎようとしていた。

「だが、毎年あの光景を見ては倒れている」
「見せないようにしたほうがいいのかな?」
京介は自分で見ないように気をつけていた。
それでも目にするのだ。
「俺たちにはどうしようもないことだ。」
悩むなと言われたように思える優しい声だった。

「白竜、ありがとう。なんて変かな?」

強く抱きついてくる天馬の癖毛から顔を逃がした白竜はまたも忌まわしい柱をみた。


慌てて駆け寄った神々は消えた神が何なのかと言う嫌な話題で騒いでいた。
「拓人か?」「らしい。」
不安定だったからな
噂の所為か?だろう。
ショックで消えたんだ。迷宮入りする前にな
恐ろしくて確認できなかったんだろうよ。


「蛇の目神!どういうことぜよ!おまん、さてはわしに隠し事をしておったな?」
騒ぐ我流の神を黙らせようと近づいた自分が、何かおかしいのに気が付いた。
ちりちりと解けて行く手足、手をのばしても一枚板の先にいるような感じと虚しさ。
周りにいる神がわっと離れた。

「典人くん!置いてかないでください!」
飛び込まぬよう我流の神に押さえられている鶴正に安心した典人は笑顔を作り、無い手を振る。
それがいけなかったのか、押さえる力が緩んだのを逃さなかった鶴正は柱に突っ込み、砕けて頭だけになった典人を抱き締めた。
瞬間、キーンという甲高い音を響かせ柱ごと2体は消えていった。


天馬と白竜は後から誰がどう消えたのか、我流の神に詳しく聞いた。
「一つ今一番気になっとるのは、おまんらが何かわしに隠し事をしとることぜよ」
「隠し事してないよ?」
天馬は白竜を横目に見ながらこたえた。
「その隠し事とやらを蛇の目神達なら知っていたのだろうが」
「うむ。わしには見当もつかんぜよ」
「見当がついたらすごいぞ」
「うん」
多くの神が消え過ぎていた。
「厄介事は苦手じゃ。わしには手におえん」
「龍馬なら、なんでもなんとかしちゃいそうだけどね」
天馬の言葉に龍馬はうむと口を結わいて考えた末に一言。
「おまんが最近よう言わなくなった、なんとかなるさの心ぜよ!」
はっきり物事を言う姿に強い憧れを感じる2体の神は、そっとお互いの口を動かした
「なんとかなるさ」

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