れんさい

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酒を飲みながら夜を明かした神々は、会議をするのもままならないようなへべれけの状態だった。
「久しぶりにこんなに飲んだよ」
水を飲む京介の横でマサキが激しい頭痛に顔を顰めながら呟いた。

「俺もだ」
端的に頭を酷使しない応えをする京介とは違い、マサキは頭痛に襲われながら言葉を選び、切れ切れに言う。
「京介くんがぁ、たくさんとか言うと、天馬くんはさ、どのぐらいさ、飲んでるんだろうね?」
さぁな。
「少なくとも吐き気を催すほど飲んでるだろうよ」
天馬を迎えに行くと言って立った京介は、捍ましいものを見た。

金に光る柱。

人間となった神がいると出るその柱は、神々にとって捍しいものでしかなかった。
それがなんと、多数立っていた。
「京介くん?」
固まる京介を不審に思ったマサキが隣に立ち、その光景に舌打ちをして駆け出した。


「七助!俊介!」
駆け付けてすぐ、柱に入ろうとする戦略の神を必死で止める悪夢の神をマサキは見た。
手を貸そうとした瞬間、金に輝く柱はキーンという甲高い音を立てて消えてしまった。

「拓人!なんで柱に入ろうとした!?」
蘭丸が怒る声に天馬が「頭いたーい」の一言と共に目を覚ました。
「みんな?」
状況を理解していない天馬は、うなだれている皆を見て状況把握に努めた。

天馬は、はっと思い至った最悪のそれが幸の神のトラウマであることを思い出すと、居てもたってもいられずその姿を探した。
いや、もしかしたら消えてしまったかもしれないとさえ考え身震いする。

そんな天馬は、後ろから肩を掴まれ驚いて振り返った。
「海士!」
にっと安心させるように笑い、こっちに来いと手招きされた。

「探してたのは幸の神だろ?」
遊戯の神の海士が聞く。
そうだよと天馬が言うと、飛脚の神はこんなにたくさんの神がそろっている中でですか?と消極的なことを言う
「相変わらずだね鶴正」
天馬ががっくりと肩を落とした。
「それに、あんなに金の柱が立ったんですし…」
さらに続けようとした言葉は、蛇の目神によって遮られた。
「心配しなくてもよさそうだぜ」
「ほんと?」
こいつについて行け、蛇の目神はこちらへゆっくりと這ってくる神使の蛇を指す。
「案内してやれ」
蛇の目神の指示を聞くや神使は踵を返し、振り返って天馬を確認した。
「典人!ありがとう!」
天馬が蛇を追い掛けるのを見届けると、3体の神はすぐさま柱のできた辺りに走りだした。


「聞くところによると、7体の神が消えたらしい。内2体は修練の神と習練の神だ」
蘭丸はいつもの快活さを無くした声で話し出した。
「ダブルしゅうれんの神か。そういや、柱の数は確認できただけでも10はあったって噂に聞いたぜ」
典人が憎そうに歯軋りをする
「二桁かぁ」
「ちゅーか、道祖神もまとめて何体か消えたかもしれないよなー」
「すると最悪、20ぐらいか」
海士、典人、鶴正は背筋がゾッとするのを感じた。
次は自分たちかもしれない
昔から神無月に消える神は多かった。
それも、会議が開かれる7日間の間が特に多いのだ。
それはこの会議後、神としての1年が終わり、始まるからであろうと言われていた。
この七日間の会議で、またどれ程の神々が消えるのを目の当たりにし、もしかしたら自分がなるかもしれないのではないだろうか。
金の柱が出た後、3体を含め、他にも忘れさられていると感じている神々はみな恐怖に震えた。

「俺たち、どうなるんでしょうか…」
鶴正は恐る恐る尋ねたが口を開く神はいなかった。

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