オリジナル

□ゲーム
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暗い地下道を進む
何か得体の知れないものが跡を追ってくる
藻掻くように走って
振り返る
短い絶叫。


そして僕は
ゲームから覚める
ごめんね
逃げ切っちゃってごめんね

助かったのは奇跡?

無機質な機械音の中一台だけ液晶画面が明るく光るパソコンを僕は突く
ほかはみんな真っ暗な液晶で、画面の前には頭が無くなった人がコントローラーを握って倒れていた。

僕の代わりに死んでくれてありがとう
これで再挑戦ができるよ

僕は転がっていた頭を抱き上げる
撫でてあげてごみ箱に捨てた
体は重いからキャスターに乗せて外に運びだす
太陽が痛いぐらいに照っていて不快感を感じさせる

ゲームから逃げることが出来なかった人の死体の山

勝てば一攫千金
負ければ死ぬだけ

正直、怖くは無かった
それから金にも興味は無い
だけどゲームの内容は気に入った
できれば何度も挑戦したいとおもった

ゲーム上のモンスターから逃げ切らなくちゃ、現実世界で殺されちゃう
出されたかわすためのヒントを元に他のプレイヤーを騙して、他のプレイヤーに騙されて
時々協力して
たった1人の生き残りへと逃げ込もうとする

騙されてゲームオーバーすると
後ろから鎌みたいなのが襲ってくるんだ

この人達みたいに頭がコロンって、血がバーってなるのは後片付けしてくれる優勝者に迷惑だよね
生き残りなのに片付けなんて面倒付き

だから僕は僕ができるだけの努力をして、迷惑にならないように勤めた
その結果、僕が片付け当番になって、願えば再挑戦もできることになった

片付けているとパソコンの画面が再起動しはじめる

END表示からSTARTに切り替わった

僕は此処は見世物なんだと再確認する
またすぐに次の挑戦者が入って来るんだろうな

そう
此処は金持ちたちの娯楽施設にある

ゲーム画面もプレイヤーの様子も映し出されるスクリーンが用意されている部屋があって、
優勝者はその部屋に入れる権利を得て、門をくぐる
金持ちたちの仲間入り

僕も門をくぐって入ったけど
全体的に高そうな造りの部屋に息苦しさを感じた
早く出よう

こんな重っ苦しい造り、僕にはあわないや
此処で僕に合うのはあのゲームだけだよ


明るい廊下を進む
僕には価値がわからないものがたくさん置いてある
立ち止まることなく歩いて
振り返る
高らかな笑い声を響かせて
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