イナGO

□とある夏休み
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「奮わないなぁ」
ベッドに体を、床に成績表を投げ出した
夏休み前の模擬の結果は目指す学校の端にも引っ掛からない
判定はEランクの検討見直し
「こんなんじゃだめだよ」
こんなんじゃ剣城くんの隣にはいられない

「葵、なんとかなるさ」
天馬の声真似をするかわいい子たちの籠に手を伸ばした
あと一歩先にあって届かない


剣城くんは遠すぎる
泣きそうな目の逃げ場にイナッターを開いた
もういっそ依存してダメになって見たい


『D判定ぇ』
天馬の報告からみんなが曝しあいを始めていた
『俺B判』『ボクもBでした』『天馬には勝ったよC!』『てか、みんな志望校違うじゃん』
中でも目を引いたのは集中砲火を食らった剣城くんの判定
『C判』
正直意外だった
普段の成績は有無も言わせないほど優等生なのに
「Aとか簡単に取りそうなのにな」
でも、そういえばこの時期の先輩達も奮わない判定を出していた


「まだやれるかなあ」
携帯を閉じて参考書を開く
けれど、足掻いただけ
全然頭に入ってこなくてうなだれる
そんな私に少し助け船が出た
久しく開くことの無かったメールという連絡ツール
『空野、図書館来れるか?勉強しないか?』
『行けるよ?ところで…何で私なの?』
『志望校同じだから』
一緒にしたんだもの

ひみつだけど
なんで知ってるのかなぁなんて考えない

勉強道具を持って外に出た
湿気を帯びた熱気にさらされた身体は一気に火照ってしまう。
けれど、熱さなんて気にならないぐらい軽い足取りを保って図書館へと急いだ


このままいけば内容の濃い入試前の夏休みになりそう
入試を笑うまでのカウントダウン

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