イナGO

□まとめ
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『雪合戦しようよ!』
珍しく練習も何もない金曜日の朝
外は白い雪が積もっていて雪合戦日和
俺は同学年のみんなに急いでメールした
葵からはすぐに、放課後はどうかと返信が帰ってきた
どうせ今日は四時間授業だ
それなら朝早く行くこともないしドロドロにもなれる
『放課後ジャージ持参!第二練習場集合ね!』

『めんどうだけど参加してやるよ』
狩屋から参加のメールがきた
『わーい(^O^)楽しそうだね!』
信助からもメールがきていて嬉しくなった

学校に着くと輝に会った
僕ももちろん参加するよ!ってジャージの入ったカバンを嬉しそうに振り回す
突然手から滑って宙を舞う
ぼすっ
剣城が鞄をキャッチして「気を付けろよ」って輝に渡す
そのまま教室へ向かっていったその背を追っていって、雪合戦参加してくれるか聞こうと思ったけどやめた
大丈夫だ。剣城は参加してくれる
ちゃんとジャージの入った鞄を持っていたから

放課後は本当にすごかった
あっちこっちで雪合戦が行われていて、楽しそうな笑い声で溢れていた
「さぁ、やるぞー!」
俺の気合いと共に雪玉を作って走って逃げる
俺はルールなんて知らないから、鬼ごっこみたいに逃げ回って追い掛けてぶつける簡単な雪遊びになった

それでも信助のコントロールがすごくよかったり、狩屋が顔面に食らってむせてたり、葵の不意打ちを食らって転ぶ剣城をみたり
俺なんかはみんなからの集中砲火を受けて逃げたり
とにかくぐちゃぐちゃになって遊んだ

日が落ちて辺りが暗くなってきて初めて体が冷えきっていることに気が付いた
葵が、そろそろ帰ろう?
って教室に戻る
俺たちもすぐにそれぞれの教室に戻って着替えた

外に出ると剣城以外のみんながそろっていて、早く早くって急かされた
「剣城は?」
「先帰れって」
剣城の口調を真似する狩屋を笑った
「笑うなよ」
「だって似てないんだもん」
ふと携帯を開く
確かに剣城から先に帰れってメールがきていた
その他にさらにもう一通
『兄さんのところに行く。商店街の前で待ってる』
ついていってもいいってことだよね?
みんなには悪いけど、嘘ついた
「秋ねぇにお遣い頼まれたから先帰って!」
おまえもかよっ
狩屋のちょっとイラついた声と
僕たち待ってた意味ないね?って信助の声が聞こえた

「剣城!」
走ってきた俺は、急に止まれなくて剣城に抱きつく形になった
「なにやってんだ」
手を引かれて病院までいく
剣城の手、温かいな
ふと剣城の左手が目に入った
小さな雪だるまが乗っていた

「入るよ兄さん」
病室のドアを開けて驚いた
「おじゃましてるよー」
信助、葵、狩屋、輝までみんなそろっていた
「みてみて!」
輝がワンドアの冷蔵庫を開けてなにやらお盆を出してきた
「すごい!」
小さな雪だるまが4つ
かわいらしく乗っていた
「剣城も持ってきたよね」
ってことは、あとは俺と優一さんのだけだ
「剣城!つくりにいこ」

天馬が剣城の手を引いて出ていったのを微笑ましく見守る優一さんを、ちょっぴり素敵だなって思ってしまうみんながいた


後日談

またみんなでお見舞いに行って雪だるまたちを見せてもらった
何度見ても変わらなく仲良しで、友達がたくさんいる俺みたいで

こんなにたくさんすごいね
冷蔵庫に入れて置けばずっと持つのかな?
おまえは幼稚園児かっ!
えー?俺沖縄出身だからそういうのわかんないや
普通に考えろよ

剣城にあきれて膨れる天馬をみんなが笑った
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