イナGO

□熱くなれ!
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靴紐を締めて玄関を走りに出た
昼頃は秋の気持ち良い晴れた暑さだった
だが、やっぱり日が落ちはじめれば冷える
まぁ夏の暑さよりはこちらの方が好きだと言えるのだが

「よお、車田」
走りだして少しもしないところで三国に声をかけられた

「三国もランニングか」
「いつもはもう少し遅い時間に走るんだがな」

俺のいつものコースに三国が機嫌良くついてくる
河川敷を通るこのコースで大抵は松風たち一年に会う
やっぱり今日も練習をしていた

「しんすけーいくよー」
松風のよく通る声と、他のメンバーのパス出しの掛け声

「なぁ車田、松風たちが革命を始めなかったらこの先の自由なサッカーはありえなかったかもしれないな」
秋晴れのような笑顔の三国を見ながらこたえる
「そうだな、あり得なかっただろうな」
俺たちも入りたての頃はああして練習してたよな
まだまだ二軍のベンチにはいるのもやっとだった頃だ

「三国!車田!」
天城も来ていたようで大柄な体を揺らして走ってきた
その後ろを
「車田せんぱーい!三国せんぱーい!」
西園が手を振りながら走ってるくる

「天城、西園、俺たちも参加してもいいか?」
「車田と俺も入ればミニゲームできるな」
「いいですね!やりましょう」

ポジションの関係ないミニゲームに皆燃え、時間など忘れてボールを追った
汗だくになって芝生の上に横になる。
空を見上げて初めて日が完全に落ちた事に気付いた
「だいぶ遅くなったな」
「そろそろ切り上げるぞ!」

三国の号令で解散となった河川敷のフィールドに俺たち3年が残った
「久しぶりに勝ちを意識しないサッカーができたな」
「そういうサッカーやっと戻ったんだド」
「ああ、ゴールをわざと決めさせてやる必要もないんだ」

ずっと求めて、現実に諦めを付けていた俺たちは、求めて、諦めない俺たちに変わっていた




後書き
車田さんがかっこいいことにいまさら気が付く

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