イナGO

□器用好き
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捧げ文

全部が下手くそな人はいないからっと笑う浜野を横目に見て
うらやましいって思う

何しても下手くそでサッカーだけが唯一まともに伸びた
うまくなりたいのは神堂以外の人との付き合い方もそう

いったいなにがいけないのか

俺はこうと信じたらこうだと決める
たぶんそれがあまりにも頑なだから、間違ったやり方だなんて思いもしないで失敗して、下手くそだって思って思われるんだな

そんな俺とは反対で、なんでも器用に入ってやってのける浜野を羨んで
全部俺のものになればいいのに

ツン

釣竿が引かれてあわてて引き上げる
「霧野!」
大笑いされて糸の先についたものを確認する
うわ
「マジかよ…」
なんの漫画だよ
「ちゅーか、空き缶なんてそう簡単には釣れないもん釣るなんて」
ある意味上手だと言って、空き缶のタブから針を取っている浜野の頬に触れた
意外と滑らかなんだ
「霧野?どうした?」
日焼けした肌が色をここまでも綺麗に変えるものかと密かに感動を覚えた

浜野が俺に渡し損ねた釣竿を地面に落とす
俺が浜野の紅くなった頬を両手で挟んで
引き寄せる

戸惑いと恥ずかしさから瞳が揺れている浜野に苛々した
「浜野、俺をみろよ」
ほらゆらゆらと揺れていた瞳は俺をみて潤んだ
それだけで不安になるんだ?
速水といっつもつるんでるから、そういうとこがうつるんだよ
「あのさ、なんちゅーか、こういうのって」
「変?」
「そうじゃなくてさ、経験ないっつーか」
「男同士ですることが問題?」
「んなことないって、霧野だったら上手そうだし、してほしいかなー」

上手そう?
「なんでも下手くそな俺が?」
それなら試してみたら?
俺がほんと、何しても下手くそだってわかるから
ほら
俺が精一杯の未熟なテクニックでしたキスは上手だといえる?

クチュりって離れた
「こんなん初めて…」
「経験無いんだもんな」
「もうさ、下手くそなんか言うのよくないと思うんだけど」

「むずかしーことわかんないけどさ、すっごく嬉しくてよかった」
「上手ってことか?」
「そういうことじゃね?」
へらへら笑う浜野に
「俺のものになってくれ」なんて口が滑った
「マジで?」
「浜野の全部、俺のものにしたい」
うわ、センス無い告白
伝わらないよな
「それさぁ、付き合うっちゅーこと?」
「世間一般的には。やっぱり気持ち悪いか?」
「いんじゃん?、俺でよければ全部もらっちゃえよ」

ほんとうらやましいなぁ
そういうの

「これからはさ、俺が上手にできること、浜野が見付けてくれよ」
「もっちろん!じゃーさぁ俺も霧野に負けないようにさぁ、キス、上手にならなきゃね」
浜野の唇が俺のと重なる
うん。やっぱり浜野は器用だ。
さっきが初めてだとは思えないキスをした



後書き
蘭丸と浜野くんでした
マイナーかしら?
私の中ではあってもいいと思えるCPです


この小説はエーテルのエー太様(ジュン太様)に捧げます
このたびは10万打おめでとうございます(≧ω≦)

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