イナGO

□守る
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「兄さん、入るよ」
「京介」
そうやって今日も、どこか遠慮がちにベッドの横来て今月のサッカーのスポーツ雑誌を手渡しながら椅子に座る
毎月ありがとうなんて言おうものなら、すぐに不機嫌になってしまうから当たり前のように受け取る
そしたら質問タイム
「学校はちゃんと行ってる?」
うん
って整った眉を少し下げながら笑顔で答える
そしたらいつもどおり
「友達とうまくやってる?」
「サッカーの練習はどお?」
って聞く
今より前、帝国学園戦の前ならサッカーの事を聞くと困った顔をしていた

「今は必殺タクティクスの練習してる」
うまくいきそう?
「まぁまぁ」
そっか
うまくいくといいな
「うん、ありがとう」
って、いつもより嬉しそうに笑う
「兄さん、今日は調子いいの?」
「うん?平気だよ」
よかった、でも無理はよくないからなって言われて笑った
「わかってるよ」
わかってる。京介にこれ以上心配されることがないようにしたいのだから
そう思って京介を見てまた笑ったら
突然太股を触られて声をあげそうになった
「痛かった?」っと申し訳なさそうに手を引っ込めようとするので思わずその手を引いた
「驚いただけだから」
ね?って笑って見せると驚いた顔で、それでも嬉しそうにそっと触れてきた
「兄さんの足だ」
そうだよ
京介を守る足だよ
京介を守る兄さんだよ
「ごめん……」
なにが?っと聞いてから、しまったっと思っても後のまつり
「また細くなってる」
うつむいた京介の声が擦れている
「大丈夫、じきによくなるって」
「…」
うつむいたままの京介の手を引いて抱き寄せた
「兄さん?」
大丈夫
京介が後悔することも、罪に感じることも何も無いから
「京介を守るのは兄さんだよ」
そう、俺は京介を守るために先に生まれたんだよ
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