イナGO

□嘘寝と悪戯
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いいさぼり場になっているサッカーコートの横の木
今日もそこに向かった

途中で天城先輩とすれちがった
「チャイムなるど」
そういわれたけど無視してそこへ向かって歩く

目的の場所はいつも通り静かだった
座って携帯を取り出す
メールを確認して舌打ちをした
「松風か……」

昼飯みんなで遺書に食べようだなんて
俺を誘う意味がわからない
返信を返すことなく携帯を閉じた

木の幹に体を預けて目を閉じた

どのくらい寝ていただろう
不意に肩にかかる重みに目が覚めた
不快の意味を込めて睨みつける

一瞬慌てて立ち上がりそうになった
「なっ!」
寝息を立てながら俺の肩に身を預けているのはよりによって松風だった
起こそうかと思ったが、とても気持ちよさそうでためらわれた

普段見ている角度のはず
それなのに無防備だからだろうか?
松風をかわいいと思っている自分がいた
「松風…」
そっと呼んでみる
ふっくらした唇が少し結ばれて緩む
「…天馬?」
うっすら目が開いて、まだぼやけているはずの目で俺を見つめて、それでふにゃりって笑った
本当にふにゃりって
「剣城」
なんだよって言ってなるべく目を合わせないようにした
今あわせたらたぶん笑われる
顔が熱い
肩に身を預けたままこっちの気も知らないで
「天馬って呼んでくれた?」「呼んでない」
「そっか…、夢かぁ」
本当だったらよかったのになって、残念そうにそっと笑った
そうやっていつも俺を乱す。
夢じゃない、確かに呼んだ
それもこれも体預けて寝ている松風がかわいかったから
つい呼んだだけ、そう、別に好きなんじゃないと信じた
自分を落ち着けるために携帯を開く
「松風、授業」「うん。いいの」
もう少しだけこうしていてもいい?
松風の甘えた声がする
それでも
「授業「剣城だってさぼってるんだからいいよね!」」
だからっと言って抱きついてきた
「本当はずっと起きてたんだ」

「ずっと起きるのまってた」
「バっ、バカ」
「京介」
一気に顔が熱くなる
抱きしめられていることはないはず
はずだった
松風の顔が近付いてきてそっとキスをする
「京介真っ赤、かわいい」

悪戯でもされているかのような気分だった
でも意地悪なのじゃなくて優しくて
なんだか嬉しかった
ゆっくりと離れていく松風の頭を引き自分からキスをした

本当は好きだったんだ
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