長編小説
□プロローグ1
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今から4年くらい前、俺とフィディオはイタリアのジュニアチームに入っていた。
その時のキャプテンはフィディオ、俺は副キャプテンだった。
この時点での俺のポジションはFWだ。
人数や出場選手の都合上、たまにDFに入る事もあった。
FWのときは常にフィディオと2トップで、フィディオは【白い流星】、俺は【黒い隕石】と呼ばれていた。
【白い流星】は、ドリブルで一気に駆け抜ける姿が流星のようであることからそう呼ばれるようになった。
【黒い隕石】は、隕石のように勢いを増し、試合に莫大な影響を与えることからそう呼ばれるようになったらしい。
今日は練習が休みだから、父さんとフィディオと俺の3人でゴンドラに乗りに行くのだ。
が...ここで問題が起こる
「フィディオ、ファリア、準備はできたか?」
「うん、出来たよ!ってかフィディオは?」
「そういやいないな。あいつまた寝坊か?」
「俺見てくるよ。」
この頃のフィディオは寝起きがかなり悪かった
履き変えた靴を脱いでフィディオを呼びに部屋へ行く。
案の定フィディオは寝ていた。
着替えは準備しているみたいだ。
フィディオの目覚まし時計を見ると、1時間遅れていた。
つーかどんだけ寝てんだよコイツは…仕方ない。
「起きろ馬鹿フィディオ!!」
大声で怒鳴るとフィディオの身体がビクッと震えた。
どうやら目を覚ましたみたいだ。
「あ、ファリア…おはよう」
「おはよう、じゃないだろ!
もう10時だぞ!!
つか目覚まし時計の時間ずれてんぞ!!」
俺は携帯と時計を同時にフィディオの顔の前に出した。
「……あ゛!10時だ!!
何で起こしてくれなかったんだよ!」
「目覚まし時計の時間間違えたお前が悪い!
早くしろよ、父さん待ってるから。」
『マジで!?』という言葉が出るのを待たずに俺は部屋を出た。
この頃のフィディオはサッカー以外はホントにダメで、学校の日もいつも俺が起こしている。
大丈夫なのかコイツ…。
数分してフィディオが来た。
「待たせてごめん父さん」
「まーいつものことだからいいけど。
もう少ししゃきっとしてくれよ。」
「はーいっ」
「よし、じゃあ行くか、ヴェネチアに!!」
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