短編小説
□For you...
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「好きだよ、シンイチ」
「は?」
「だから、好きだってば」
いきなり何言ってんだと言わんばかりに俺の恋人―半田真一はこっちを向いた
「俺シンイチ以外何もいらない」
「ふーん…」
「リアクション薄いな、傷つくよ!」
「知らねーよお前がいきなり変な事言うからだろ?」
「俺は本当のことを言ったまでさ!!」
「だったら、今すぐにサッカーをやめられるか?」
「へ…?」
「俺以外いらないっていうのなら、サッカーもいらないのかって。」
「……」
予想外な質問に俺も驚いた。
幼少のころからやってきたサッカー。
でも…
「君のためなら、サッカーどころか命だって捨てられる。俺はそれくらい半田真一という存在に依存してるんだ。」
シンイチはしばらく黙り込むと、幼児が恥ずかしさのあまりにお母さんにしがみつくように、俺の左腕にしっかりとしがみついた
「……馬鹿フィディオ…」
そう言ってるシンイチの顔は赤かった。
そして、ポツリと呟いた
「………俺もだ」
だが、その言葉は俺には聞こえなかった
END