長編小説
□第3話
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「テレス!テレスじゃないか!」
彼を見たのは4年ぶりだった。
あのアメリカ遠征以来一度も海外には出ていない。
けれど昔と何も変わっていない喋り方、そして低くなった声を聞いてホッとした。
「知り合いか?」
……え?まさかサッカーをやっててテレスを知らない人が居るなんて思ってもいなかった。
「えっ…?テレスを知らないのか!?アルゼンチン代表ジ・エンパイアのキャプテンで、予選大会で失点0、アンデスの不落の要塞と呼ばれるDFさ。」
「失点0って…スッゲェ!!俺、イナズマジャパンの円堂守、よろしくな!」
円堂はテレスのところに駆け寄って手を差し出すが、テレスはそんな円堂の様子を伺った後、俺の方に向き直った。
まるで円堂なんて相手にしなかったかのように。
「フィディオ、俺と勝負しないか?」
「勝負?」
「なに、ほんの遊びさ。前から一度お前とは勝負したいと思ってた。俺のディフェンスを抜くことが出来たらお前の勝ちだ。」
テレスは勝手に話を進めてきた。
円堂との練習を邪魔しておいて何をいうか…。
「悪いけど、今は彼と…」
「構わないさ!俺も見てみたいしな!世界レベルのスゲェディフェンスを!」
「…君がそう言うなら…」
「決まりだな」
「じゃあミーたちも入れてよネ」
いつからそこにいたのか、アメリカのユニフォームを着た男2人が並んでいた。
1人は見覚えがある。
キャプテンマークをつけている方はマーク・クルーガー、アメリカ遠征のとき一緒に練習をし、試合をした相手で、ファリアの大ファンだ。
隣にいるゴーグルを着けた男はおそらくエースストライカーのディラン・キース。
ファリアが居なくなった一年後にマークのチームに入ったらしいが、詳しいことは分からなかった。
「ディラン、マーク」
「よっ、久しぶり!」
「誰だ?」
「えっ!?彼らも知らないの?!」
俺のそばによって2人のことを聞いてきた円堂、まさかここまでとは思わなかった。
「フィディオ、その坊やにミーたちのことを教えてやってよ」
「あ、うん。えっと、アメリカ代表ユニコーンのエースストライカー、ディランとMFのマーク」
「チュース!」
「よろしく」
「ユニコーン…てことは一之瀬たちと同じチームか!」
「さすがにイチノセのことは知ってたか…。」
「えっ?一之瀬を知ってるのか?」
円堂が一之瀬を知ってるのは今考えても無理はなかった
彼もファリアと同様で数ヶ月前までは日本に居たのだから。
「当たり前さ!サッカーやってるやつなら誰でも知ってるよ!フィールドの魔術師イチノセカズヤ、アメリカのプロユースにも誘われた、ユニコーンの要だ。」
「へぇ!あいつそんなにスゴいやつだったのか!」
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