薄桜鬼

□真白
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死にました。

彼は死にました。

真白な雪の中で、真黒な服を着た彼は、真赤になって死にました。

彼のお別れの式は、真黒な服を着た私たちと、真白な服を着た彼でやりました。


いつもと違う彼でした。

そこにあるのは白でした。

忍としての彼はそこにはいなく、ただただ、白い皮膚をこわばらせたまま動かない彼がいるだけでした。


白、しろ、しろ。



「君は雪みたいに肌が白くて綺麗だ。」



なんて言ってくれた彼は、私より白い肌でした。



「雪みたいに消えてしまいそうで、時々怖くなるんだ。」



そう言っていた彼が、消えてしまいそうでした。



「好きだ、マカダミアが。」



そう言ってくれた彼の唇は、もう動きません。



『ありがとう、山崎さん。ねぇ、目を開けて、好きって言って?私もね、大好きなのよ?』



黒い忍び服に身を包む貴方が凄く好きだった。
誰よりも誇らしかった。
誰よりもかっこよかった。

私が世界で一番、愛していた。



「俺は白が好きだ。マカダミアの色であるし、俺にはなれない色だから。」



嫌い、嫌いよ、白なんて。
貴方を奪った白なんて。
白が似合う私なんて。

どうして彼は白に愛されなかったんだろう。
どうして黒だったんだろう。

どうして、どうして。



『私ね、黒が好きよ。あなたが似合う黒が好き。あなたの色の黒が好き。』



だからどうかお願い。

その真白な服を脱いで、私の真黒な服と真黒な心に溶け込んで。



『好き好き好き・・・山崎さんがすきだよ!!』



その真白なからだにすがりついて、抱き締めて、口づけて、一緒に死んでしまいたい。



嫌いな真白に包まれて。



真白
(雪なんか降らなければよかった。)
(白なんて、存在しなくちゃよかった。)

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暗っ!
 

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