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□私が
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私が弱いからですか、

貴方が武士だからですか、

この時代のせいですか、

―――――
―――
――


「行ってらっしゃい。」

私は涙をこらえて言った。少し早く咲いた梅の下で。


「元気で・・・・しっかりしろよ。」



土方さんは、いつもは見せない笑顔を見せた。
なぜか、その笑顔が儚くて。



「はい・・・また。」

「ああ、また。」

「「また、この梅の下で。」」



微笑んで言うしかなかった。弱い私は、それしか出来なくて。

歩き出す彼の背中は大きく、遠く。
ただ眺めるばかり。今も、未来も。



「土方さん!!」

「あ?」



振り返った土方さんは、私を見てくれる。

本当は、傍にいたい。
好きで好きでたまらない・・・。

でも私は町娘。
戦えない私は、彼には必要ないの。



「お気を・・つけて。」

「ああ・・・。マカダミアも。」



優しい笑みも、もう見れないのですね。


ねえ、あなたの隣に居られないのは、

私が弱いから?私が戦えたら・・・。

あなたが武士だから?貴方が普通の人だったら?

この時代だから?もし、この時代じゃなかったら?


あふれてくるのは、悲しい疑問ばかりだけど。

それでも・・それでも私が、

貴方を想うことは自由ですか?



私が。
(もしそれが自由なら。)
(私は貴方を想い続けます。)
 

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