スタスカ

□幼いね
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昔から少しだけ大人だと思っていた。

哉太の双子の妹マカダミア。
それは病弱な哉太のかわりに家でいろいろなことをしたり、哉太の世話をしていたからだろうか。

そんなマカダミアは俺達に頼ることをしない。
いつだって一人で解決しようと頑張る。



「錫也、お菓子。」

『またお菓子?哉太ちょっと食べ過ぎだよ!』

「そうだな、マカダミアの言うとおりだな。」

「マカダミアは昔から哉太には厳しいね。」

「月子たちが甘いんだよ!」



そう言って笑うマカダミアの顔色が少し悪い。



「マカダミア、大丈夫か?」

『なにが?』

「いや、顔色悪いから。」

『そうかな?』

「ああ、熱は・・・。」



熱を確かめようとした時、ぱっと手が振り下ろされた。



「どうした?」

『あ・・・なんでもないから、ほんと。』

「いや、でも。」

「そうだよ、どうしたの?」

「お前、どうしたんだよ。具合悪いんじゃねえか?」

『哉太まで・・・みんな心配し過ぎだよ。』

「し過ぎなんかじゃないだろ!」

『っ。』



つい大きな声を出してしまった。
その瞬間マカダミアの顔が少しだけ歪んで、ガタリと立ったと思ったら教室を飛び出していて、
俺達はというと少しの間時が止まったかのようだった。

ふと「追いかけなくちゃ」という月子の声で我に返り、俺は後を追って教室を飛び出ると、
遠くに入ってなくて苦しそうにしゃがみこむマカダミアに近寄った。



「マカダミア!!」

『錫也・・。』

「やっぱり具合悪かったんだろ!?なんで我慢なんかしたんだ!」

『だって・・・』

「だっても何もないだろう!心配しすぎとかそんなの・・・もっと俺達に頼ればいいのに。」

『・・・・っ。』



直後マカダミアの目からぶわりと涙が込み上げてきた。
俺はついうろたえる。だって、泣くことなんてほとんどしないから。



『って、だって、具合悪いだけでそんなことでみんなに心配なんかかけたくないし、一人でどうにかしなくちゃ、みん、な、大変だから、』

「マカダミア・・・今まで一人で耐えてたのか。」

『だって、だって』

「もういいよ。ごめんな、気づかなくて。」

『うわぁーん。』



いつの間にか頼ることを忘れてしまったマカダミア。哉太に忙しかった親や俺達を見ていたからかもしれない。決して哉太が悪いわけではないけれど。
ただマカダミアが苦しんでいるのに気付けなかった自分が悔しかった。



「頼むから・・・もう一人で頑張らないでくれ。」

『すず、やぁ・・・けほっ・・ひっく』



泣きながら咳きこむ背中を抱きしめながらさする。

大人だと思っていたマカダミアはただたんに頼ることを知らず、心配されることに慣れていない、俺達とかわらない子供だった。

泣きだしたとたんに幼さがあふれ出る小さい身体を抱きしめて、どうしても守りたいと思った。

その瞬間、マカダミアはただの幼馴染じゃなくなった。



幼いね。
(子供のように俺にしがみつく熱をもった君は)
(子供のように泣きじゃくるんだ。)
 

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