スタスカ

□ほんのり染まる君の
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最近は少し日が長くなった気がする。

少し前まで見ていた木星やオリオン座の位置が、日を重ねるごとにうつっていく。

毎日見れるわけでもないけど、星月学園に通うくらいなのだから本当は毎日見たい。

そんな星の位置と一緒に、私の心もころころ位置を変えて行く。



「アーモンド。」

「あ、宮地君。」

「冷えるだろう。もういくぞ。」

「あと少しー!」



こうして部活帰りに少しの時間、宮地君と一緒に星を見るのが最近の日課だ。

寮に帰る間の少しの時間とはいえ、一緒にいる時間が長くなるほど、私は彼が気になって仕方がない。



「ね、宮地君。」

「なんだ、」

「眉間、皺寄ってる。」

「む・・・。」



宮地君の顔はいつでも難しい顔をしている気がする。月子ちゃんもそう言ってた。



「もしかして・・・あたしと帰るの、嫌だった?」

「い、いや・・・。」

「あ、いやならいいの!遠慮しないで言ってね。寮に帰るまでなら敷地内だし近いし・・・。」



こんな宮地君を困らせるようなことを言うなんて、なんて可愛くない女なんだろうか。

でも私は宮地君が好きなんだ。
毎日一緒にいる間に大好きなってしまったんだ。



「ね、もう帰ろうか。あたし、寒くなっちゃった。」

「アーモンド!」

「なに?」

「その・・・別に嫌な訳じゃないんだ。」

「え。」

「だから!お前と一緒に星をみるのが嫌とか一緒に帰るのが嫌とかじゃなくてだな、むしろ好き・・・・あ。」

「・・・・え。」



いま、いま宮地君からでた【好き】はどういう意味だろう。

急激に赤くなる宮地君をあたしはついつい見つめた。



「・・・・すまない。」

「・・いえ・・。」

「・・・・その。」

「・・・・・・はい。」

「・・・・好きだ。」

「な・・何が・・?」

「え。」

「え。」



好きって何が?星が?弓道が?



「マカダミアが。」

「え・・。」


急に呼ばれた下の名前にビックリしていると顔が一気に火照りはじめる。
あ、あたしが・・あたし・・あはは。



「あたし!?」

「ああ、“マカダミア”が好きだ。だから一緒に帰るも星をみるのも嫌ではない。」

「あ・・・あたしも、すき、で、す。」


すこし、少しどもりながら答えると、宮地君はこれまた少し震える手で私の手を握った。

そんなわたしはほんのり染まる宮地君にきゅっと抱きついた。



ほんのり染まる君の
(その震える唇にそっとキスしてみた。)
(ちょっとばかり、怒られてしまったけれど。)
 

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