夏目友人帳
□僕はきみの
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貴志と私は所謂恋人というものである。
私の友人からすると、「死ぬほど羨ましい」らしく、なるほど、貴志は影でもてる。
それは貴志がかっこいいにも関わらず、何も知らない人からすると変な人だからだ。
貴志には妖がみえる。ちなみに私には見えない。気配とか声はわかるけど。
だから急に驚いたりする貴志は、常人にはとても不思議らしい。
そのミステリアスさがいいらしい。
とまあ、此処までツラツラと並べてみたが、最終的に言いたいのは『私が貴志の彼女』と言うことである。
「つまり、最近夏目くんと多軌さんが仲良くて嫉妬してると。そういうのは本人に言いなさいよ!」
『し、嫉妬じゃないよ純!』
「嫉妬よ嫉妬。噂をすればなんとやら、ね。ほら、夏目くんと多軌さん。」
『え!?』
最近の貴志は、私といる時間より、多軌さんといる時間がながい気がする。
もちろん貴志が友達を凄い大切にしているのは知ってる。
でも彼女の私は友達以上に貴志のことを好いているのだから、やっぱり一番隣にいたいのだ。
「マカダミア、」
『・・・なあに?』
いつの間にか隣に来ていた貴志に、つい冷たくしてしまう。
嬉しいはずなのに、さっきの苛々が私をぐるぐると回る。
「怒っ、てる?」
『怒ってない。』
「・・・俺は、マカダミアが多軌に嫉妬してくれて、嬉しいよ。」
『はあ?』
「・・・よくわからないんだ。友達との付き合い方もたどたどしいのに、マカダミアとはもっとわからなくて。ごめんな。」
『貴志は、多軌さんがすき?』
「すきだけど、マカダミアに対する好きとは違う。だって、マカダミアは俺の彼女だろう?」
うん、とは恥ずかしくて言えないから、頷きかえした。
そしたらぎゅっと貴志我慢し手を握ってくれた。
私は多軌さんに嫉妬していたのかな。
付き合うってなんだろ。
別に貴志とイチャイチャしたいわけじゃなくて、ただ一緒にいたいのだ。
そう貴志に言うと、「俺もだよ。」と綺麗な笑顔で言ってくれた。
『貴志、好きだよ。嫉妬してごめん。』
「俺も、ごめんな。」
ただ好きなのだ。
付き合いたての私たちには、嫉妬という愛情表現しかできないのかも。
嫉妬しているうちは、まだまだ子供だと純が言っていた気がする。
ただ彼氏彼女、互いに好きという事実だけが、私たちを繋いでいるから。
僕はきみの、
(でもやっぱり、嫉妬はしちゃうな。)
(だってこんなにも好きなんだもの!)
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嫉妬要素すくない!
夏目くんは恥ずかしいことさらっと言う気がする
桜花さまに捧げます