夏目友人帳
□冬の日差し
1ページ/1ページ
眠くなる午後の授業。
冬だから寒くて、厚手のブランケットを膝にかける。
「ふあぁ・・・。」
小さな欠伸をすると、先生の視線が突き刺さるのがわかったから、曖昧に目を逸らした。
ふと気がつき隣の席をみると、ちょっとミステリアスな夏目くんがスヤスヤと眠っていた。
そこにあたる、西日の暑さが、彼を唸らせる。
先生が見てたのは、もしかしたら彼なのかも知れない。
だとしたら大変だ。
こんなひ弱そう(失礼だ)な夏目くんが怒られるなんて。
「夏目くん、先生、見てるよ。」
「ん・・・」
少し身じろぐだけで起きない。
仕方ないからカーテンをそっとしめてみた。
すると、少し暗くなったのに気づいたのか、夏目くんの目がぱちり。
「先生、見てるよ?」
「悪い、アーモンド。」
「ぶ、ブランケット、かそ、うか?」
「アーモンドが寒くなるだろ?」
「べ、別に・・・。半分貸すから。」
自分の机をつけて、ブランケットを夏目くんの膝にかける。
近い距離に鼓動が速くなる。
なんで?ちょっと近いだけじゃない。
「アーモンド」
「な、なに!?」
「ありがとう」
そう言って笑った夏目くんの顔が、カーテンで遮ったはずの西日より眩しくて暑くて。
冬の日差し
(“どういたしまして“の声が少し上ずって)
(君が好きだと気がついてしまったのです)