Eternal sunshine.
□No.1
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シュベリアとレゴラス、美しき二人のエルフが抱き合っていると二人に負けず劣らず光り輝く二人の金髪のエルフがやってきた。
このロスロリアンを統べるガラドリエルとケレボルン。シュベリアの母と父だ。
『シュベリア、私の姫よ、戻ったのですね』
『…お母様』
『シュベリア、そなたの眠る60年、永遠を生きる私たちと言えども、とても長く感じたぞ』
『…お父様』
『よくぞ戻りましたね、娘よ』
そうして微笑む恐ろしいほど美しい母と父にシュベリアは感極まって涙を浮かべた。そんな娘を優しく抱きしめる母。娘を抱きしめている妻ごと抱きしめるケレボルン。そんな家族を優しく見守るレゴラス。
とふいにレゴラスの腕も引かれた。
『わ…』
レゴラスも気付いたら美しきロスロリアンの家族の中にあった。
レゴラスは優しいケレボルンと目があった。
『息子よ、娘を取り戻してくれてありがとう』
『スランドゥイルに眠ったままの状態でもシュベリアを闇の森に頂きたいと言われた時は困りました。そなたが毎日のようにロスロリアンに行きたいと申し出るのに困っていたようでしたね』
『それは申し訳ありませんでした…』
笑いあう夫妻にレゴラスははにかんで笑った。その話しにシュベリアは目を丸くするとまた鈴のなるような声で笑った。
『スランドゥイル様らしいわね』
『…貴女が眠っているまま闇の森に嫁いでいたら父はさらに困っていただろうね。一時たりとも貴女と離れなかったでしょう』
『それはレゴラス様らしいわ』
そうしてまた和やかな空気が流れた。
『さて、光の姫の帰還を国中に伝えなくてはなりませんね』
『あら、それならば、私自ら皆様に挨拶を…』
そう言ってシュベリアは立ち上がり、手を空にかざした。
『シュベリア!お待ちなさい!』
『光よ』
『っ…』
世界が光に包まれた。
ホビット庄ーシャイアー
「わぁ!!ガンダルフ!!なんですか今の光は!!」
ビルボ・バギンズの誕生会に向けてやってきたガンダルフの馬車。そこにガンダルフとホビットのフロド・バギンズが乗っていた。
すると、すべてがどこもかしこが暖かく強い光に包まれた。
「戻ったか…おかえり、光の姫シュベリアよ」
「え?シュベリア?あの伝説のエルフの姫君ですか?」
「そうじゃとも、フロド。中つ国の希望の光じゃ」
裂け谷ーエルロンドの館ー
「父上!」
「ああ、めでたいことだ。希望が戻った」
「シュベリア…よかったわ…」
「おかえり、ロスロリアンの姫シュベリアよ」
「おかえりなさい」
アイゼンガルド
「‼︎…光が、戻ったか」
サルマンは塔の上から自分のしもべたちが光に当たった瞬間、灰になるのを見た。地上に蔓延っていたオークは恐らく今の一瞬で灰となったことだろう。
サルマンの顔に皺が寄った。
「しかし、もう戻っても無駄だ」
モンドール
こちらもアイゼンガルド同様地上に蔓延っていたオークやゴブリンたちは消え去った。
ー愛しい愛しい姫よ、次は現実で一緒になろうー
愛に狂った闇は光の姫を手に入れることを誓った。
ロスロリアン
『っ…私は闇になど屈さない…』
シュベリアは久々に立ち上がったこと、急に強大な力を使ったことの反動で息を乱し、その場に膝をついた。
『シュベリア!』
レゴラスはシュベリアを抱きあげた。息がひどく乱れている。
『シュベリア、目覚めたばかりですよ』
『大事ないか、シュベリア』
母と父もシュベリアを心配気に見つめる。
『身体が万全になるまでは力を使うことは許しません』
『はい、お母様…』
『レゴラス、シュベリアと明後日まで一緒にいてくれまいか?』
『はい、勿論です』
『シュベリア、すぐに時は動き出します。それまでゆっくり休みましょう』
シュベリアの額にガラドリエルは口付け、ケレボルンと共に去っていった。
『さぁ、お姫様参ろうか』
『はい、緑葉の王子』
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