真選組の華 〜真選組女隊士物語〜 第2巻
□第48話 ナルシストはうざいのにポジティブだから長生きする、そして憎まれっ子世に憚る
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近藤が思い出したようにそう言うと、まだその内容を知らされていなかった万事屋の面々が、首を傾げる。
「何だよ。他にもなんか起きたのか」
「・・・それが。・・・・・・その」
言い淀む雛乃。
それもそのはずだ。
一部始終を共に過ごしていた土方は、はぁっと溜息をつくと、雛乃の代わりにとても言いにくそうに切り出した。
「さっき目が覚めた雛乃はまず俺に、自分を斬ったのは兄かもしれんと教えてくれた」
「そうアルね、聞いたアル」
「で、俺はひとまず、それを近藤さんと総悟に相談するために部屋を出ようとしたんだ。したら、自分も一緒に行って状況を説明すると雛乃が言い出した」
「・・・はい・・・そうです。それで立ち上がった時・・・気づいたんです・・・」
「気づいた?・・・何にだよ」
銀時たち万事屋の三人と、万幸が、ごくりと唾を飲む。
しかし、それ以降なかなか口を開けない雛乃。
仕方なく、土方はこう告げた。
「――自分の体が、軽いってな」
銀時と万幸が、思わずひゅっと浅く息を吸った。
だが、それから暫くの沈黙。
全く言葉の真意が理解できない様子の新八と神楽は、ひたすらぱちくりと瞬きを繰り返している。
「・・・えっと・・・それは、暫く寝たきりでご飯を食べてなかったとか、そういう話ですか?」
「ちげーでさァ黙れアホメガネ」
「雛乃が軽いのなんていつものことネ」
「おめーはもっと黙れアホ面チャイナ」
「わたしだけなんで顔を貶されてるアルか!!!偏差値と顔面偏差値は別アル!!!」
ぎゃーぎゃーと騒ぎ出す神楽の頭をぽんっと柔らかくげんこつが叩いた。
ふっと見上げると、そこには随分と真剣な面持ちの銀時。
その表情を見て、神楽は口をつぐんだ。
「・・・いいか。てめーら。雛乃は・・・・・・軽すぎたんだ」
「そうじゃ。武士ならば、気づいた瞬間、全身の血の気が引くであろうな」
万幸にそこまで言われてようやく二人は答えへとたどり着いたのであった。
「「雛乃/雛乃さん・・・黒野薔薇を無くして・・・!!!!??」」
雛乃ががくりと首を落として頷いた。