真選組の華 〜真選組女隊士物語〜 第2巻

□第41話 白い粉って美味しいよね。・・・塩のことだってば
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メイドとして潜入することが決まった雛乃は、思い切り肩を落として落ち込んでいた。

けれど、隊長の何名かは雛乃のメイド姿を見たいという下心も持っていて、結果誰も反対意見を述べなかったので仕方がない。


その時、不意に土方が呟いた。




「なぁ・・・。雛乃だけで無理だとは言わねぇが、流石に一人で潜入させるのも負担が大きいんじゃねーか」




するとそれを聞きつけた雛乃が、突然勢いを取り戻し猛烈に抗議する。




「そっ、そうですよ!私、潜入調査は初めてですしっ!あと一人で恥ずかしい思いするなんて嫌です!誰か一緒に行きましょう!」


「お前後半が主な理由だな・・・」




土方がそう突っ込んだが、確かに初の潜入を一人でやらせるのは不安だと皆も感じた。

何かいい案はないかと、全員唸り声を上げて知恵を絞る。


そこへ沖田が、なんとも意気揚々として提唱した。




「なら、潜入慣れしてるザキが一緒に行ってやりなせェ」


「えぇ!?ぼ、僕ですか!?」


「監察は潜入のプロじゃねーか。そんな奴がいりゃあ雛乃も安心ですよねィ?」


「はい、そうですね!幸い山崎さんは肩幅が少し狭いですから、女装出来るんじゃないですか?」


「ちょっと雛乃ちゃん・・・!」




盛り上がる二人を止めようと慌てる山崎。


されどその努力虚しく、沖田の考えは近藤に認められてしまった。




「いいじゃないか。確かに監察隊士がいれば無事に遂行出来そうだ」


「あぁ。・・・けど、山崎は情報収集に特化しててあまり戦力にはならねぇ。犯人との戦闘も有り得る、もう一人戦闘要員を加えたらどうだ」


「おっ、それはいいな」




この言葉を耳にして、此度は山崎が大変勢い良く提唱する。




「それなら、沖田隊長はどうですか!?」


「おいザキ・・・!何余計なこと言ってんでさァ」


「戦闘力は雛乃ちゃんと並んで真選組トップですし、経験豊富な隊長がいれば不測の事態にも対応出来ます!ね、雛乃ちゃん!」


「沖田さんなら、容姿も綺麗ですし細身なので、女装しても全然バレないんじゃないですか?」


「雛乃、何言うんでィ!」




先程の仕返しに、沖田を巻き込もうと山崎は必死に熱弁をふるう。




「うん・・・いいんじゃないか?」




その熱意に負けたのか、近藤は笑顔でその案も承諾してしまった。


女装が決定してしまった沖田は鬼のような表情で舌打ちを放つ。

そして八つ当たりとして、土方の足の小指をありったけの力で蹴り、会議室を出て行った。




「〜〜〜っ、地味に痛ぇなコノヤロー!」


「うわっ、僕に当たらないで下さいよ!僕だって泣きたいんですから!!」


「はぁーっ、一人でメイドやらなくて済んだ・・・。良かった・・・」
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