真選組の華 〜真選組女隊士物語〜 第2巻
□第40話 夜明け前の町と酔っ払い 〜The gait is doubtful. 〜
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「きゃ――!!松平様が来たわ――!!」
「「パパ最高ーッ!!」」
「待ってたわよ、パパぁ――!!」
最強の金蔓の登場に、キャバ嬢達は皆舞い上がった。
キャアアア等という叫び声が木霊する。
その盛り上がりように驚いた一同は、店の入口を振り向いた。
多くのキャバ嬢に囲まれ、鼻の下を伸ばして立っていたのは、あろうことが警察庁長官の松平片栗虎。
思わず面食らった土方は、彼に向かって怒鳴った。
「おい、とっつァんじゃねぇか!長官がこんなとこで何してんだよ!?」
「何って、可愛い子に囲まれに来たに決まってんだろぉ〜、トシ」
「決まってんだろって、仮にも警察のトップがそんなことしてんじゃねぇよ!」
「えー。だってぇ、オジサンも息抜きしたいしぃ。て言うかトシも来てるじゃんかぁ」
「俺は志村妙に会いたがった近藤さんの付き添いなんだよ!つかその喋り方止めろ!」
はぁあ、と重い溜め息を零し、土方は頭を抱える。
だが松平は何ら反省することなく、何人もの女を両腕に抱いてソファに腰を下ろした。
酒と女に躊躇なく金を注ぎ込む彼の様子を見て、土方は遠い目をして呟く。
「江戸も末だな、こりゃ・・・」