真選組の華 〜真選組女隊士物語〜 第1巻
□第7話 「だめ」と言われると余計気になる
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十月中旬。
雛乃は食堂で昼食を食べていた。
自分の前には、初米の上にマヨネーズをぶっかける副長が。
横には食事中にも関わらず藁人形に釘を打ちつける隊長が。
そのさらに横には誰にも気づかれず食べている地味野郎がいる。
(もう、こんなんが日常になってきてる、私・・・)
と、自分の感覚に冷や汗をかきつつ雛乃は目玉焼きに醤油をかけた。
と、ある事に気がつく。
「そういえば、今日近藤さんは?」
「ああ、近藤さんは・・・!」
土方は何か言おうとしたが、途中でやめ、そのまま何も知らないふりをしている。
「何かあるんですか?」
土方はマヨネご飯を食べ、沖田は藁人形の儀式を止めて味噌汁を啜っている。
山崎も、あまりの熱さに火傷しかけながら、必死にお茶を飲んでいる。
と、雛乃は銭湯でのお妙との会話を思い出した。
「もしかして・・・お妙さんのストー・・・」ダンッッ!!
雛乃の言葉を遮るように、土方が机を叩いた。
「雛乃、今日は屯所から出るな!」
「え?ど、どうしてですか?」
「とにかく!今日は・・・そ、総悟!雛乃と・・・えっ・・と、書類整理だ!」
「へいへい、わかりやした。な、雛乃」
「え、あ、はい・・・」
いつもなら命じられた仕事を山崎に押し付ける沖田が真面目に返事をしたことに驚き、思わず返事をしてしまう。
(ま、あとでこっそり抜け出して・・・)
心の中で呟き、目玉焼きに齧り付いた雛乃だった。