真選組の華 〜真選組女隊士物語〜 第1巻

□第6話 仕事先に居たら嫌な上司・部下ランキング!
1ページ/4ページ




雛乃の暴走から一週間。


江戸は10月に入り、少し肌寒くなってきた。


この日、雛乃は隊士に稽古をつけるため、沖田と道場へ向かっていた。






「とりあえずダメな奴には力で、叩き込んで教えてくだせェ」


「え゛・・・。い、いいんですか?そんなの・・・」






沖田からそんな説明を受けて道場へ入ると、隊服ではなく道着を着た隊士達が、30人ほど並んで立っていた。






「稽古は一週間で分けて行うんでさァ。今日はコイツらでィ」


「はいっ!」






雛乃がはきはきとした返事をすると、沖田は小さな笑みを浮かべた。






「おいテメェら、いつも言ってるがどんな練習でも手を抜くんじゃねェ。いいな?」


「「「「「はい!!」」」」」






先ほどまでとは打って変わって、真面目な表情の沖田を見て、





(この人も、やる時はやるんだ)





と思った雛乃だったが、やはり沖田は沖田なわけで。






「じゃあまず、一人一発土方に蹴りを入れてくる事!」


「沖田さ〜ん・・・」


「へいへい、冗談でさァ。じゃ、適当に二人一組になって試合するように!」






沖田がそう言うと、隊士達はペアを組み始め、やがてあちこちから竹刀がぶつかり合う音が聞こえはじめた。






「じゃあ雛乃は手前の隊士から見ていってくだせェ」


「わかりました!」






こうして雛乃の指導が始まったわけだが、沖田・土方に勝る人物が、隊士達を見て何と思うか想像はつくがろうか。


もちろん、欠点だらけである。


ダメ出しも半端ではない。






「だめ!ここで足に力入れないと、次の攻撃で隙を作る事になるから!」


「こっちから来たらどうするの?360度、気配を感じてて」


「ほら、倒れる!重心の移動が遅い!」






ってな具合に、隊士達の欠点を思いきり突きまくる雛乃。


隊士達はもうぐったりである。






「足が空いてる!空いてる所は狙いに行かなきゃ!」


「無駄な動きが多すぎ。身軽さを利用して!」


「体力だけじゃ勝てない、頭を使って!」






いい加減に疲れてきた隊士達の動きが、鈍くなってきた。


それに気がついた雛乃は、沖田に相談に行く。






「あの、沖田さん。このまま続けても皆さんは・・・」


「じゃあ身体に叩き込んでやってくだせェ」


「いや、でも・・・。い、いいんですか?」


「仕方ねぇだろィ」






と、いうわけで。






バシイッッ!!






「ほら倒れた。何回言ったら分かるの?身体を後ろに引けと言っているだけ。早く立って下さい」






その様子を、怯えて見ている隊士達。


すると。






「そんな余裕があるなら私と勝負します?」


「「「れっ、練習に集中しまーす!!」」」






雛乃の黒い笑みと冷酷な目は効果覿面。


隊士達はそそくさと練習に戻って行った。

次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ