真選組の華 〜真選組女隊士物語〜 第2巻
□第45話 続き柄を書くときは両親、兄弟、祖父母の順
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昨夜から降り始めた雪は今も続いており、それは真選組屯所の庭にも満遍なく積もっていた。
書類整理の作業を始めたのは、昼頃だったと記憶している。
それから暫く仕事に没頭し、息抜きがてらトイレに立った帰りに、雛乃は縁側で立ち止まって空を仰いだ。
(お腹すいた…今何時だろう)
時計を見やる暇もないくらい集中していたので、今の時刻がわからない。
太陽の沈み具合で考えようと思ったが、厚い雲に覆われた空は元々暗く、時間の判断材料にはならなかった。
止む気配のない雪。
その中のひとつを適当に選び、地に落ちるまで目で追う。
「みゃーう」
不意に聞こえた鳴き声に視線を落とせば、部屋に残したレンが足元に擦り寄って来ていた。
出会った頃から幾分か重くなった子猫抱き上げると、冷えた指に温もりが伝わってくる。
それによって、身体が大分冷たくなっていることに気が付いた。
「風邪ひいたら迷惑かけちゃうし、そろそろ書類の方に戻ろうか」
「にゃん」
レンが冷えないよう腕の中に閉じ込めて歩き出したその時、門の方からかなり大きく下品な声が響いた。
「すいまっせええええーん!!」
「あれ…今の声、銀時?」
あのふざけたような声の張り上げ方は、銀時に違いない。
雛乃はすぐにそう思った。
何の用事だろうと気になり、縁側から庭に出る人の為のサンダルを引っ掛け、レンを抱いたまま門へと向かった。