真選組の華 〜真選組女隊士物語〜 第2巻

□第41話 白い粉って美味しいよね。・・・塩のことだってば
1ページ/10ページ

「局長っ!!」




隊全体で行うミーティングの前には、毎朝、幹部のみでの会議が開かれている。

昨夜の夜間見廻り、早朝に起きた事件についてまず幹部で話し合い、幕府からの連絡事項を各隊長に先に伝えて、ミーティングで隊士達に発表する内容をまとめるのだ。


この会議には、局長である近藤、副長・土方、参謀・伊東、そして一番隊から十番隊までの隊長と監察代表の山崎に加えて、雛乃も参加している。


幹部から特別の信頼を寄せられ、隊士からも慕われており、更に真選組随一の戦力である彼女。

称号こそ与えられていないものの、実質、もうすっかり隊長の一人として扱われていた。




そんな早朝会議の真っ最中、平隊士は立ち入り禁止になっているこの会議の場に、一人の隊士が飛び込んで来た。




「おい、てめー何考えてんだ!この時間の会議室は出入り禁止だろーが!」


「すっ、すみません副長!ですがこの情報をすぐに皆さんに伝えなければと・・・っ」


「・・・土方さん。何か大事な報告みたいですよ。怒らずにまず話を聞きましょう」




雛乃はそう言って土方を宥めると、やって来た隊士に話すよう促した。




「は、はい。先日から真選組の総力を挙げて捜索していた麻薬密売犯が、潜伏している先を発見しました!」


「何だと!?」


「遂に見つかったか・・・!」




隊士の言う麻薬密売犯とは、他の星からターミナルの厳重な検査をパスして何度も麻薬を密輸し、江戸で売りさばいているという奴である。

この度幕府の役人からその密売犯と取り引きをした者が捕まり、今最も注目されている指名手配犯なのだ。

幕府からのお達しによって真選組も犯人探しに当たることになり、現在必死に捜索中であった。


隊長達が喜びの声を上げ、雛乃も安堵の溜め息をつく。




「とうとう尻尾を掴んだか。で、奴は何処にいるんだ?」




やっと幕府からの任務が果たせると、同じくほっとした表情の近藤が尋ねる。


だが、その質問に隊士は言い淀んだ。




「あの・・・それがですね、その」


「何ですかィ、さっさと報告しなせェ」




沖田がじれったさの余り少々きつい口調で急かすと、隊士は戸惑ったようにその潜伏先を述べた。




「奴が潜り込んだのは、その・・・メイド喫茶です」


「「「「「・・・はぁあ?」」」」」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ