小話

□過ちと百万の後悔 後編
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夏の大会以来、土方に向けられる女子の視線がやたら熱くなった。

その様子を見るたびに俺の中に苦いものがじわりと滲んだ。

土方がある女子生徒に呼び出されたのは、2学期が始まってすぐの頃だったと思う。

小柄な可愛い女の子だった。

土方が何を言われるかは簡単に推測できた。俺は、気がつくとグランド裏に向かう土

方の後を追っていた。

告白された土方は困ったように俯いて朱くなっていた。

そして俺は、好きな人がいるんですかという彼女の問いに、土方がうんごめんと答え

た時、立ちくらみがしそうになるほど動揺した。


土方には好きな奴がいるんだ・・・・。


土方はとても綺麗な顔立ちをしていて、勉強もできて、剣道だって俺達よりかはまだ

弱いけどじきに同じくらい強くなるだろう。

意地っ張りなところがやけに可愛くて、冷たそうな見た目に反して熱く、優しい内面

を持っている。


土方に好きだと言われたら、どんな女だってOKするにちがいない。


だけど土方に彼女ができたら、俺はどうすればいい・・・・?

土方が可愛い女の子と付き合い始める姿を想像して俺はおかしいくらい狼狽えた。

その晩一晩禿げるほど考えに考えて、俺は土方に彼女ができても彼女以上に仲のいい

親友になることを決意した。

ヅラや高杉、坂本の誰よりも傍に居ようと毎日子供っぽい努力をさんざんした。

土方はそんな俺を見てもただ笑って受け入れてくれて俺はすごく嬉しかったんだ。



だが、そんな日々は唐突に終わりを告げた。



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