小話

□過ちと百万の後悔 後編
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2年の夏の地方大会だった。

土方は、自ら先鋒を志願して大会に挑んでいた。めきめきと実力をあげていた土方は

一人で第4試合まで全勝で勝ち抜いていた。


「土方、やるのう。このまんまおんし一人で全員抜いてしまうんじゃないかのぅ?」

坂本が呑気な声を掛ける。

「一人くらい俺に回せ。暇で仕方ねえ。」

次峰の高杉が笑いながら言う。

「どうなるかなんて終わるまでわからねえよ。」

流れる汗を拭きながら、土方が答えた。

「それで次の学校はどうなんだ?」

「次の対戦相手は深川佐賀高校。大将の伊東って奴は俺たちと同じ2年だな。」

「ふん。」

ヅラの答えに土方の目がギラリと光った。

(負けるつもりなんて爪の先ほどもありませんって顔だな、こりゃ。)

そんなことを思って土方の顔を見ていると、

「ンだ、糞天パ、何ニヤニヤしてやがる?!」

土方がギロリとこちらを睨んだ。

「べっつにー。」

へらっと笑ってみせると土方が唇を尖らせた。

「べつに、かよ・・・・。何かほかに言うことねえのかよ・・・。」

その不満げな顔に手を伸ばして土方の髪をぐしゃぐしゃにした。

「銀さんの超貴重な時間を割いて夏中練習相手努めてやったんだからよ、ぜってえ勝

ってこいよ。」

土方は顔を真っ赤にして、俺の手を払いのけ背を向ける。

そして、小さく「おう。」と答えた。



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