小話

□過ちと百万の後悔 前編
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昼休みを告げるチャイムとともに、俺は売店で買ったパンの袋を掴んで廊下に出た。

秋の陽の射す廊下は明るく、授業から解放された生徒たちが次々と教室から溢れ出し

てくる。

歩を進めようとして、前から歩いてくる銀色の髪を見つけた。

瞬間、心臓が氷を撃ちこまれたように冷えた。

いつもと変わらないだるそうな歩き方。

友人たちと話しながら、片手をポケットにもう片手を後頭部にやるいつものポーズ。

俺は動揺を悟られないように、ただまっすぐ前を見つめ、早すぎないように遅すぎな

いように歩く。

その俺の横をおまえはまったく歩を緩めることもなく冷たい完全な無関心で過ぎ去

っていく。

ついこの前まで、俺の姿を見つければ必ず足を止めて柔らかい笑顔で話しかけてきた

温かさはもうどこにもない。

おまえの隣を歩いていた坂本が、

「お〜、土方。」

と手を振り、桂が隣を歩くおまえの顔をちらりと見た。

すぐ後ろを歩く高杉が俺を見て、ふっと嗤った。







階段を上がり、立ち入り禁止の屋上に出た。

冷たい風が吹く中、禁を犯してまで屋上に来る生徒の姿は見えない。

屋上の隅に座って、そこから見える殺風景な景色を見ながら、そっと拳を胸にあてる。

銀時・・・。

あいつと一切関わらなくなってから、もうひと月以上経つというのに、まだ胸が痛い。

いや、一切の関わりを断たれて、だ。

薄汚れた醜い人間だと知られて、あいつに見限られてから、ひと月。



どうすることもできない。

でも、どうしようもなく苦しい。

喉の奥に何かがつまって息をするのも苦しい。




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