1.5W副長(第二部) 完結

□第19章 奪還 その壱
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「ボロボロだな。」

銀時の体に包帯を巻きながら土方が呟いた。

「あー、まあね。」

手当をしてもらいながら銀時はきょろきょろと周囲に視線を走らせる。

落ち着いてみれば、室内はホテルの設えのようだった。

ベッドにセンターテーブル、ライティングデスクもある。

港で外から見たときはただ図体が大きいだけの古びた船にしか見えなかったのに、内

部は淡い光彩を放つメタリックな設備に艦内を縦横に走るオートウォーク。恐らくこ

れは最新鋭の宇宙船なのではないだろうか。個室内には空調をはじめ様々な設備が備

え付けられていた。





「なあ、何なの?ここ。なにこのSFチックな部屋。それに、これもしかして、」

「おい!」

土方の言葉を無視して、しゃがむとベッドサイドの白いボックスを開ける。

「やっぱり!ビールじゃん!」

冷えたビール缶を取り出しプシュッと蓋を開けた銀時を見て、土方はため息をついた。

「密輸船だ。」

「密輸船?」

口にビール缶を運びながら銀時は土方に問い返す。

「金をかけて宇宙船をあれこれいじくったモンだ。古びたそこらの客船を模して警察

の目を盗もうとしてたが実態は戦闘用の装備まで備えた艦艇だ。積荷は食料品だの医

療品だのから武器弾薬まで揃ってる。どうも春雨の息がかかっているみてえだな。」

「春雨の?」

「ああ。奴ら攘夷浪士どもに武器を秘密裏に流そうとしていた。直前で監察が気づい

て一番隊が急襲して拘引したんだ。小競り合い程度で制圧できた小せえ捕り物だった

からてめえは知らなかったんだな。」

「へえ・・・、それが何で?」

真選組が拘引した船舶の類はすべて幕府に引き渡される。これはその中の一隻を奪取

したということだろうか?



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