1.5W副長(第二部) 完結

□第18章 崩壊 その玖
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「それは・・・。」

「ていうか、ホントお上ってのはおっかないね。昨日まで自分とこの家来として便利

に使っといて、風向きが変わったらいきなり抹殺しようとする。真選組もたいがい乱

暴モンだと思ってたが、今考えりゃあいつらもかわいそうなモンだよ。」

「真選組の連中がどうしたか知っているのか?!」

思わず大きな声が出た。

「う〜ん、局長の近藤は捕えられて江戸城に連行されたらしいんだけどね。」

男は腕組みをすると首をかしげて軽く唸る。

「近藤が捕えられたって?!」

「そうだよ。反逆罪だとかでさ、まあ『冤罪』って奴だけどな。」

銀時は違和感を覚えて男の顔を見た。

「何であんたに冤罪かどうかなんてわかるんだよ?」

「そりゃわかるさ。」

だが、男は少し得意げな顔になり、尻ポケットから何か出した。

「みんな言ってるぜ? だって、すげえあからさまじゃねえか。いくら俺が馬鹿だっ

たってわかるさ。」

手にした紙を拡げる。紙には大きく「号外」と書かれていた。

『将軍徳川茂茂さまご危篤!夕食後意識を失われ、現在極めて危険な状態。』

「んでその翌日に警察庁長官松平片栗虎の更迭追放、それに引き続いて反逆罪で真選

組局長近藤勲の逮捕に真選組の粛清だ。こりゃどんなアンポンタンだろうがわかっち

まうだろう?」

次々に「号外」と書かれた瓦版を銀時に見せる。

江戸の町民もすでにことの次第に気付いているのか。

「そうか・・・。」

小さく呟いた。

そよ姫と六転舞蔵に聞いた聞きたくもなかった悪夢はやはり本当だったのだ。

(結局、俺が闘ったことは無駄だったのか・・・? 時間稼ぎにも何もならなかった

のだろうか・・・。)



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