1.5W副長(第二部) 完結
□第17章 崩壊 その捌
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「松陽を殺されたことを恨んでいるのか?」
朧の暗い眼が銀時を見つめる。
「だが、恨みを持つのは筋違いだ。地を這う虫は踏みつぶされたとして誰かを恨むだ
ろうか? 答えは否だ。従容としてただ死に赴く。天は与え有象無象の虫けらはそれ
に従う。それが自然の摂理と言うものだ。」
「何だそれ?」
銀時の声が怒りに掠れる。
「おまえの大切な真選組の副長の頸も直にその主を離れ地に転がる。お前にできるこ
とは、ただ天を受け入れることのみ。」
朧が最後の言葉を口にした瞬間、銀時の木刀がざっと空を切って奔った。
銀時の瞳が朧を焼き殺さんばかりに炯炯と光る。
「てめえらがあいつにまで手ぇだすってなら、俺は再び夜叉にも悪魔にもなって、て
めらを滅ぼす。」
後ろに跳びすさった朧の前髪がはらりと落ちた。
「貴様は変わらんな。だが、お遊びは終わりだ。いつまでもこんなところでもたつい
ているわけにはいかぬ。天に仇なす犬畜生を確実に始末してくるようにとの御命令
だ。」
「はっ・・・戯言は俺を斃してからにしろや!」
構えた木刀ごと朧の懐に飛び込む。
朧の口の端が嫌な形に歪んだ。
「戯言?それはお前の言葉だ。俺は真実しか口にしない。」
朧がさっと身を翻す。
辺りにぶわっと殺気が立ち込めた。
(なに?!)
ガーンガーンガーンガーン
周囲の地面が次々と弾け飛ぶ。
見回せば、いつの間にか夥しい軍勢が銀時を包囲していた。
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