1.5W副長(第二部) 完結

□第15章 崩壊 その陸
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「江戸城から軍勢が出るのが6時と言ったな?」

銀時が呟くように言った。

「ああ。役人どもは時間には正確だと思うぜ?」

高杉があざ笑うように肩を揺らす。

「今は?」

銀時が低い声で問う。

高杉が時計を見た。

「5時35分。」

「上等だ。」

銀時が木刀を握りしめる。

着物の袂がふわりと舞った。





銀時の背が遠く小さくなっていく。

その背中が見えなくなるまで、高杉はじっと丘の斜面に佇んでいた。



脳裏に川辺の情景が浮かぶ。

先生を失い、仲間を失い、片目を失い、ただ命だけ長らえて銀時の傍らに倒れ伏して

いた川辺の情景。

『俺を抱け。』

たった一つだけ残ったプライドまで捨ててあの時銀時にそう告げた。



「てめえは、変わらねえな。」

あの時と変わらず、俺に背を向けて去って行く。


2014.2.8
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