1.5W副長(第二部) 完結
□第12章 崩壊 その参
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「とっつぁんに連絡しろ。」
脇にいた隊士に短く命令する。隊士は飛ぶようにして屯所の中に駆け戻って行った。
「てめえらと俺達はなんだかんだと相容れない関係だ。そっちの言う事真に受けて、
うちの大事な局長をおいそれと差し出すわけにはいかねえな。」
「おい、トシ・・・。」
大事な局長である本人の近藤が後ろで土方の袖を引くが、土方は振り返りもせず、居
並んだ見廻り組隊士を睥睨した。
「これがそっちの企んだつまらねえ猿芝居だとわかった暁には、どうなるかわかって
んだろうな?」
佐々木が無表情に土方の顔を見る。
やがて、隊士が戻って来た。
「どうだった。」
「あ、あの・・・。」
「どうだったって聞いてんだ!はっきりしろ!」
口ごもる隊士にイラついて声がついピリピリしたものになる。
「ひっ、は、あ、あの、松平様には連絡したのですが、電話にはどなたもお出になら
ず・・・。」
「ああ?!誰も出ない?!」
「は、はい。警察庁にもご自宅にも・・・。」
隊士は土方の迫力に怯えて身を縮ませる。
「ちっ、あのクソ親父!またどっかにしけこんで遊んでやがるな。」
土方は大きく舌打ちをすると、隊士に命令した。
「探して来い!あのろくでなし捕まえて事情を話すんだ。そしてすぐ屯所まで来いと
伝えろ!」
「は、はい!」
数名の隊士が慌てて街に走り出す。
「少し時間貰うぞ。」
土方の言葉に佐々木がわざとらしいようなため息をついた。
「どうぞごゆっくり。」
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