1.5W副長(第二部) 完結
□第11章 崩壊 その弐
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「てめえ・・・、」
「旦那、出かけんのはいいですけど、夜までには戻って来てくだせえよ。」
その時、土方の言葉を遮って、横から沖田が割り込んできた。
「おい!」
「夜までって、何で?沖田君。」
土方はいらいらした声を出し、銀時は沖田の楽しげな顔に小首をかしげた。
「夜桜で花見酒するんでさ。」
沖田がひょいと屯所の庭に立つ桜の木を指差した。つい昨日までは固く閉じていた蕾
が今朝になっていくつも綻びかけている。
どうやら、爛漫とは程遠い咲きかけの桜をサカナに沖田は宴会を企んでいるらしい。
「はあ?花見だ?俺はそんな話ひとっことも聞いてねえぞ!」
土方が眉を顰める。
「嫌だなあ。そりゃそのはずで。土方さんのことは誘っちゃいませんからね。」
こともなげに沖田がそう返し、土方のこめかみに青筋がたった。
「ああ、そうかよ。つうか、そんなお遊び考えてる暇あるんだったら仕事しろ仕事!
この前拘引した宇宙船の報告書まだだろーが!」
「そーいやあ、そんなもんもありましたっけね。」
相変わらずの暖簾に腕押しな沖田の態度に土方の肩が怒りでふるふる震える。
「そーいやあ、じゃねえ!第一花見とかいって、まだ、桜なんてほとんど咲いてねえ
じゃないか?!」
「あ〜あ。誘われないからって僻んですかぃ?イライラしちゃってみっともない。あ
んたみたいな人が先頭に立ってるから真選組は、粋を理解しない田舎侍の集団だとか
なんとか言われるんで。こうやって、咲いたか咲いてないかわからねえくらいの桜を
愛でるのが本当の通人だって、昔の偉い坊さんが言ったとか言わなかったとか、聞い
たような聞かなかったような。」
土方の口が思いっきりへの字に曲がる。
「何言ってんのか訳わかんねえよ・・・!そんなら勝手にやってろ!」
拗ねたような土方の口ぶりに沖田の目が楽しそうに細まった。
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