1.5W副長(第二部) 完結

□第10章 崩壊 その壱
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「そんなに待ったか?そりゃ悪かった。」

「待ったどころじゃねえよ!俺を凍死させる気ですか?このヤロー!」

銀時は逆光で窺いにくい高杉の顔に仏頂面を向けた。

「ま、こっちも色々と忙しいもんでな。」

高杉が軽く肩を竦める。

「は、忙しい、ね・・・。」

銀時が眉をしかめた。

「海賊稼業にも繁忙期とかってあんの?それとも佐々木異三郎と攘夷ごっこするの

に夢中になってたってか?」

「・・・どこでその情報手に入れた?」

高杉の声のトーンがかすかに上がった。

「情報ソースは内緒に決まってんだろ。てめえになんか聞かせられるか。」

「もっともだな。」

高杉の喉からくくっと嗤い声が漏れる。

「高杉、何で佐々木なんぞと手ぇ組んだ?真選組潰すためか?」

銀時の声が鋭く尖った。

それに高杉が嫌味なほどのんびりと返事をする。

「あの佐々木という男と俺の意見はいくつかの点で妙に一致していてな。そのうちの

一つが幕府と真選組は引き離した方がいいってやつだ。まあ、そう考える理由は俺と

奴じゃまったく逆だが。やつにとっちゃ真選組の存在が邪魔で、俺にとっては幕府の

存在が邪魔ってなもんだからな。」

「なるほどな。どーりでここんとこ幕府の様子がおかしいわけだ。」

銀時の瞳が光る。それを見て高杉がふっと笑った。

「おい、誤解すんな。俺がそうさせてるわけじゃねえ。幕府のお偉いさんたちはもと

から真選組を嫌ってるんだ。俺はただ、幕府に切り捨てられて土方が落ちてきたら、

拾ってやろうかと待ってるだけだ。」

高杉の言葉に銀時の眉が寄る。

真選組が幕府高官の一部にとって目障りな存在なのは確かだ。

真選組が手柄を立てれば立てるだけ、有能であればあるだけ、連中の憎しみは増す。


銀時は仏頂面のままつまらなそうに言った。

「確かに真選組は幕府の爺どもには嫌われてるさ。だが、だからなんだ?あいつ等は

そんなもんで潰されるほどヤワじゃねえ。」




それに土方はすでに裏で動き出している。



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