1.5W副長(第二部) 完結

□第9章 春の雪
2ページ/25ページ


「では次のニュースです。」

真選組11番隊の事件の報道番組はこれといった波乱もなく終了し、銀時は土方の方

を向いた。

「お疲れさん、無事に終わりそうじゃん。」

口の端にマヨネーズをつけたまま土方がにやっと笑う。

「たりめえだ。」

銀時は、満足げな土方の顔に苦笑いしつつマヨネーズのついた口の端に親指を伸ばし

た。



『これはな、土方への俺からのプレゼントだ。』

土方に高杉の言葉を伝えてはいない。

懐にずっと潜ませている濃紅の携帯電話のことも。

(伝えて、土方の感情が揺れるところを見たくねえ。)




テロ翌朝には、鬼兵隊の犯行声明が幕府に届いた。

高杉は言葉通り真選組を護ったのだ。

(高杉に助けられたからって、土方が高杉に感謝するわけねえし、寧ろ激怒するだろ

うとは思うんだけど・・・。)

『いずれあいつは自分で俺のところに来る。』

そう嘯いていた高杉の言葉が呪縛のようになって、すべてを土方に話すことができな

い。

(思い返してみりゃ、高杉に囚われていた1か月のことをちゃんと聞いたこともね

え。)

その間に土方が高杉に惹かれることがあるだろうか、と自問すれば、あるかもしれね

え、という何とも自信のない答えが導き出されてしまい、嫌になる。

(だって、俺と高杉は昔っからしょっちゅう好みがかぶって、そんでそういう時相手

の娘はいつだって高杉のこと選んでたから・・・。)

けどありえねえって!土方が高杉を・・・なんて。なんつったって敵同士なんだしさ!

『敵、ならな・・・。』

またしても、嫌な笑みを含んだ高杉の顔が目の前にちらついた。

「くそっ。」

「どうした?」

思わず漏らした言葉に土方が銀時の顔を見た。



次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ