1.5W副長(第二部) 完結
□第7章 bitter chocolate その肆
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「奴らは悪魔です。道ですれ違ったときに見ていたってだけで年寄りを半殺しに。」
「攘夷浪士達が連中の暗殺を企んだようですが、根こそぎ返り討ちにあっています。
もう、連中のこと誰も止められません・・・!」
「俺達、何とかしてくださいって町の人たちから頼まれても何にもしてやれなくっ
て・・・・!」
「捕縛された人たちへは連日激しい拷問が行われているようです。このままでは、ま
もなくこの人たちも・・・・。」
見廻りから戻って来た隊士達が土方の前で泣きながら報告する。
今回はいつか真選組を陥れようとして幕府の一部が謀った尚武党愛染党事件の時よ
りなお始末が悪い。
人々は不満や怨嗟の声をあげることもできず、ただひたすらに怯えている。
たとえ、この真選組の屯所に助けを求めに来ても局長以下誰一人11番隊の非道を押
しとどめられないという事実を知らされるだけ。
近藤が畳をドンと殴った。
「もう我慢できねえ!俺達が救い出そう!トシ!俺達がこの人たちを救出するんだ!」
土方は黙って目を閉じた。
昼間漏れ聞いた血を吐くような女の泣き声が耳奥に蘇る。
恐らくは、何の罪もないのに引っ立てられていった彼女の夫はこのままにしておけば、
二度と帰ってこないだろう。
俺達がずっと守ってきた江戸の街の人間だ。
目を見開き、固唾を呑んで答えを待つ隊士たちの顔を見た。
いかつい強面の俺達は、決して江戸の町民に愛されてはいなかった。むしろ、迷惑な
存在として嫌われていたと思うのに、
それでも、必死に町の人を守りたいと願うお前たちの事が本当に愛しいと思う。
だが・・・、
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