1.5W副長(第二部) 完結
□第6章 bitter chocolate その参
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城の最奥につながる豪華な長い廊下。
手前にある控えの間の前で土方が立ち止まった。
「てめえはここで待ってろ。フラフラするんじゃねえぞ。」
「へいへい。」
だるそうに返事をした銀時に一瞥を与え、きぴすを返す。
上着のポケットの中に納めたものがカサリと音を立てた。
ポケットに手をやりつつ、苦い思いを飲み込む。
(こんな平和ボケしたもんをあいつに渡せる日は来んのか?)
懐に忍ばせた銀色の包み。サテンのリボンを掛けられたそれは、銀時を喜ばせたいと
こっそり買い求めた己の想い。
お前なんかにやらないと言い張って見せたが、本当はとうに用意していた。
だが、こんな浮ついたイベントに現を抜かせるのは、あくまでも真選組が平穏無事で
いる間だけのこと。
もしかしたら、渡される機会を失ったこれは、ひっそりと闇の中で眠り続けることに
なるのかもしれなかった。
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