1.5W副長(第二部) 完結

□第2章 Ghost in winter 
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「中学校でもその話すごい噂になってるアル。霊解寺のあたりに長い髪の女の人みた

いな幽霊がいて、近づくと名前聞かれるんだって。返事すると『違うあなたじゃない』

って言ってすうっと消えちゃうんだって!」

「結構な数の人が髪の長い女の人みたいな幽霊に遭遇しているらしいんです。会った

人の中にはショックで寝込んでいる人もいるらしいですよ。」

新八がさらに言葉を添える。

「へ、へえ?」

「この前霊解寺の前通ったけど、まだ夕方だったのに、全然人通りがなくなってた

ヨ!みんな怖くて近づかないアル。たたられると恐ろしいことがおこるらしいアル。」

「ふ、ふ〜ん。どいつもこいつもお化けなんて信じてんだ。」

「とか言って銀さん声が震えてますけど。」

新八が嫌な突っ込みをする。

「まあ、三つ子の魂百までというアル。子どもの頃から幽霊怖くて寝ションベン漏ら

してた銀ちゃんは、百歳になってもションベン臭いままアル。」

「百歳でションベン臭かったら、それは俺のこと介護してる奴の怠慢だから!ってか、

何見てきたようなこと言ってんの?!」

「だって聞いたアル。」

「誰に?」

「ヅラアル。」

「ヅラ〜?!おまえ、ヅラに会ったのかよ?」

「霊解寺の傍で会ったアルヨ。『リーダーは幽霊が怖くないのか?』って言うから、『銀

ちゃんやトシじゃあるまいし、そんなもの怖くないアル。』と答えたら、ヅラが銀ち

ゃんが子どもの頃にお化けの話聞いて、怖くなってトイレ行けずにお漏らしした話を

教えてくれたアルネ!」

「あいつ、よけいなことを・・・・!」

今度会ったらぼこぼこにしてやる。

心の中で固く誓ってから神楽に言った。

「つうかさ、おまえもヅラと仲良しこよしで喋ってくんな。あいつは銀さんの恋には

とんでもねえ邪魔モンなんだからよ。」

「わかってるアル。ちゃんとテロとかしちゃだめだよ〜って言ったアル。」

「何か緊張感ねえな。」

「まあ、神楽ちゃんも銀さんの背中見て育ってますからね。」

新八が仕方ないと言うように肩をすくめる。

「そんで、もしテロ起こしたら、チ××コ潰してやるからなって言っといたアル。」

「・・・・・。」

「てか、神楽ちゃん女の子がそういう言葉使ったらダメだから・・・・。」

新八がすごく哀しそうな顔をした。

「まあ、何でもいいけど、ロン毛の馬鹿にはあんま近寄んな。あいつと関わっていい

ことがあったためしなんて一個もねえからな。」

「「は〜い。」」

素直に返事をする子供たちを連れて、屯所の門をくぐった時は、とてものどかな冬の

昼下がりだった。



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