1.5W副長(第二部) 完結

□第1章 ラプソディ イン 真選組
2ページ/15ページ



土方を救出してから1か月。

今は毎年恒例の年末特別警戒の季節。

ちなみにあと一週間でクリスマスだ。

特別警戒の任務ですっかり疲れた俺はさっきまで車の中で爆睡してた。

そう、気持ちよく眠ってたはずなのに・・・・。



「ここどこ・・・・?」

呆然として呟く。


確か、ドS王子と市中見回りをしていたのだ。

それが「着きましたぜぃ。」と言われ眠い目を擦り車から降りてみれば周りには葉を

落とした木々が寒々しい姿を見せて突っ立っていた。

そろそろ沈もうとしている太陽が枝の間から弱々しい顔を覗かせている。

「んで、こんなひと気のないところに・・・?」

まだ、いささかボンヤリした頭で思ったままを口にしたとたん、思い出した。



車の中で沖田が

「旦那、なんだかお疲れみたいですねぃ。」

とトボケタことを言ったので、

「ああ、ムチャクチャ疲れてますよ。めくるめく愛の生活までよその野郎にのぞかれ

ちゃってますからね、コノヤロー。」

と嫌味を込めて答えたのだ。

それに沖田が

「共同生活は気を使いますからねぃ。」

とこれまたスットボケタことを言いやがったので、

「そうだねえ。たまには人のいないところでゆっくりしたいねえ。」

と大人の余裕をかまして返事をしたのだ。




・・・・・・。

その結果がこれというわけだ・・・・。

「くっそー!」

俺を車から降ろしたときに「ごゆっくり。」とほざいたドSの声が脳裏に蘇る。

俺は沖田への罵詈雑言をひとしきり言い尽くすとため息をついた。



土方とミツバの悲恋のいきさつから沖田が土方に抱えている複雑な歪んだ感情はわ

かっている。その未消化な感情を今は土方と恋人になった俺にぶつけてくるんだろう。

しばらくは沖田のだだにつきあわされるんだろうなあと覚悟は決めちゃいる。

昨日だって、幸せいっぱいでほおばったパフェの中身が唐辛子にすり替えられて火を

噴いたし。

「本当にあのガキ一度きっちり締めてやらねえとな。」

今更、締めたところでどうにもなりそうにもないドS王子の顔を思い浮かべ、もう一

度ため息をつくと、山を降りるべく、足を踏み出した。

足元に降り積もった枯れ葉がザクザク音を立てて、物悲しさを煽る。

携帯電話を出してみれば、当然のように圏外だ。

そういうとこ抜け目ねえよな。

さらにもう一度ため息をつくとブルッと体を震わせる。



早く降りねえとマジ遭難だ…。



次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ