1.5W副長(第一部) 完結
□第1章 おまえ、誘ってるの?!
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ファミレスに入ると、万事屋3名は大量に料理を注文してがつがつとものすごい勢いで食べはじめた。
山崎が自分の昼飯を食べながら呆れて目を丸くしている。
土方は出てきた料理をおざなりにつついただけでぼんやりとしていた。くわえている煙草ももう灰が落ちそうだが、灰皿にうけようともしない。
(あ〜あ、まったく、大丈夫かよ?)
さんざん、食い散らかしてひとごこちついた銀時は、土方の顔を覗き込むようにして話しかけた。
「あれから、どうよ?相変わらず、寝てねえの?」
「あ〜、ここんとこ、攘夷浪士どもが、ごそごそと煩くて、休む暇がありゃしねえ。」
土方の眉間の皺が深い。
(なんかやつれちまったな・・・。)
銀時は土方の憔悴した顔をみた。あの事件の後、きちんと休みをとったのであろうか?頬がずいぶんこけてしまった気がする。
「人員不足なんです。仕事に対して圧倒的に人手が足りないんですよ。」
山崎が説明する。
「この前の伊東の事件の時に隊士がずいぶん減ってしまって、それから、なかなか増えなくて・・・。今日もこれから隊士募集のために武州の方回る予定なんですよ。」
「へえ、隊士募集・・・。」
「ええ、これ、募集のパンフレットなんですけどね・・・。」
山崎に渡された紙片を覗き込んだ3人の目がパンフレットの中のとある表に釘付けになった。
「なんじゃこりゃあ!!」
「うおおおお!!!」
「真選組って、こんなにお給料いいんですかっ!!」
「すげえ!!これ、一か月で俺たちの稼ぎの半年分くらいはもらってるんじゃねええ?!!!」
「いや、ことによると一年ぶんくらいじゃ・・・!」
「100年分くらいアル!!!」
興奮の坩堝に陥った3人を冷ややかに見やりながら、土方が言う。
「そりゃ、マダオなおめえに比べて、俺たちゃあきっちり働いてるからな。だいたい、てめえなんざ、人の下で働くこと自体できねえだろうが。」
「失敬な!できますう!いつだって、依頼受けたら忠実にしっかりきっちりこなしてますう!」
「馬鹿にすんなよ、ニコチンコ!」
銀時と神楽がぎゃあぎゃあ言い返す。
いつもの喧嘩にに発展しそうな様子に慌てた山崎があせってその場を取り繕おうとする。
「ほんと、旦那たちみたいな人たちが入ってくれれば、助かるんですけどね。」
「山崎!」
余計なことを、と土方が睨むのを流してさらに山崎は言葉を続けた。
「ほら、副長だって朝稽古の相手がいなくていつも物足りなさそうじゃないですか。旦那がいたら、副長だって稽古の相手がいなくて退屈することもなくなるでしょ。」
山崎としては、あくまでもその場の喧嘩を回避するために言っただけの言葉のつもりだったのだ。
だけど、山崎の最後のセリフを聞いた土方は、目を見開き、しばらく何か考え込んだような顔をした後、血の気をなくしていた頬をぽおと赤らませた。
あとで、山崎は喜色というのはは、ああいう色をいうのだなと理解した。
「・・・・入るか?真選組に。」
土方がそんな言葉を、真剣な瞳で、ポロリと零したとき、山崎は、驚きのあまり手に持っていた箸を取り落した。
「へ?」
言われた銀時も思わぬ展開にとまどって間抜けな声をあげた。
「もし・・もしだ、おまえ達が真選組に入る気があるなら、明後日が募集の面接日だ。屯所に来い。」