1.5W副長(第二部) 完結

□第28章 奪還 その拾
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「近藤さん!?」

「トシぃ〜〜〜〜!!!」

「局長!!」

連なる江戸城の屋根瓦の上で近藤が四つん這いになってぶんぶんと手を振っている。

「俺は大丈夫だ!みんなも大丈夫だぞ〜〜〜〜!!」

近藤の周りには沖田とヅラとそして多分助け出された攘夷志士たちがずらり並んでいた。



(みんなって・・・。)

一緒にいる連中のかなりな人数が攘夷浪士ですけど。

「さすがゴリラだわ。気が付いたらみんな仲間かよ。」

思わず呆れ声が出る。



俺の隣りで土方が大声をあげた。

「真選組撤収っ!!」 

うおおぉおおぉ〜〜っっ!!

土方の声に真選組隊士たちが一斉にどっと咆哮をあげた。





上空にグーゥンと重低音が響き渡り、船が姿を現した。

『副長〜〜〜!!』

船の中からマイク越しの少し弱々しい声がする。

『今、みんな拾い上げるんで、ちょっと待っててくださいね〜。』

「早くしろ!山崎。」

『無理言わんでください。俺、怪我人なんですよ〜 そんで、今やっと見つけた説明書読み

ながら、この船飛ばしてるんですからね。え〜と、下部ハッチの開閉、開閉っと・・・これか

な?』

ゆっくりと船体の一部が開いた。何やら砲塔のようなものが姿を現し、白く光ったと思うとそこ

からおもむろにビームを発射した。

「ぶぎゃあああああ〜〜〜っ!」

近藤の足元の屋根瓦が吹っ飛んだ。

屋根の上からまっさかさまに転がり落ちそうになった近藤の体を危ういところで沖田が着物の

襟首を掴んで引き上げる。

「なにしやがんでぃ。ザキの野郎、日頃の恨みを今になって晴らす気にちがいありやせん。

土方さん、あんたのせいでさ。責任取っててめえがどてっぱらに風穴開けられろぃ。土方コノ

ヤロー。」

「山崎ぃっ!!!」

土方のこめかみに青筋が浮かぶ。

『ひ〜〜っ! すんませんんん!何しろ宇宙船の操縦なんて初めてなんですよぉ。え〜っ

と・・・』




もう、大丈夫。

その時安堵の空気がその場に色濃く漂っていたのは否めない。

護衛隊も奈落すらも圧倒し、迎えの船もすぐそこに来ている。再び攻めてきても俺達は城か

ら逃げ出した後だ。

きっと隊士たちのほとんどがそう思っていた。



緊張の糸が緩んだ。


その時だった。


土方に向かって一筋の光の矢が奔った。



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