1.5W副長(第二部) 完結
□第24章 奪還 その陸
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「土方、来い。」
やがて、部屋の障子がスラリと開き、桂が姿を表した。
土方は立ち上がり、桂の方に歩み寄る。
それについて銀時も立ち上がると、
「土方だけだ。」
桂が冷たい表情で銀時を見た。
「あ゛?何でよ。」
剣呑な顔つきで桂に詰め寄ろうとした銀時に、
「てめえは待ってろ。」
土方が振り向いて声をかけた。
その有無を言わせぬ一言に銀時は不満げに腰をおろす。
「ああ、ハイハイ。イッテラッシャイ。」
アグラをかいてふてくされている銀時を置いて、二人は部屋を出た。
桂の後をついていけば、先ほどまでいた部屋とそれほど変わらぬ小部屋に案内され
る。
室内には誰も居らず、ただ床の間の一輪挿しに水仙の切り花が清冽な香を漂わせて
いた。
相対して端座したところで、桂が口を切った。
「ほぼすべての志士達に連絡を付けた。穏健派から武闘派まで。今回の処刑とは関
係のない派閥にもほぼすべてだ。」
「ほぼすべての攘夷志士に・・・。」
土方が思わずそう呟けば、
「連絡をつけただけで、まだ、貴様の作戦にのると応えたわけではない。」
桂が冷たく言い放つ。
「これまで、我らの仲間を殺戮し傷つけてきた真選組の局長を救出するなど、正気
の沙汰ではないというのが、全員の一致した意見だ。」
土方はぐっと体を固くした。
「大切な者を奪われた憎しみは、理屈や理性では抑えがたい。」
桂は表情を変えないままに言い募る。
「奪った者には、相応の報いを、と皆望んでいる。」
土方は唇を噛み締めた。
わかっていた。
攘夷志士達の自分たちに向ける憎悪がどれだけ激しいかということは。
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