1.5W副長(第二部) 完結

□第22章 奪還 その肆
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「それは、随分虫のいい申し出だな。自分でもそう思わぬか。」

桂が厳しい眼差しで土方を見た。

「ああ。」

土方が静かに答える。

「銀時、貴様もどうかと思うが。こんなバカバカしい仲立ちをしおって!」

「バカバカしいかどうかは、とりあえず話聞いてから決めろよ?」

銀時が行儀悪く立膝に顎をのせてぼそりと言った。




銀時と土方は、30畳ほどの青畳の敷かれた大広間に並んで座り、桂と相対していた。

桂の後ろにはずらりと攘夷党の浪士達が並んで銀時と土方を睨みつけている。



数刻前高杉との通信の直後に土方は銀時を通じ桂に連絡を入れた。

近藤勲の救出に協力してほしい。協力してくれれば、江戸城に捕えられ、近藤と同日

に処刑される予定の26名の攘夷志士の救出に手を貸す、と。



処刑される26名の志士たちは穏健派から過激派まで様々なグループに属しており、

それぞれの所属する党は同じ攘夷派を名乗っていても共闘することはほとんどない。



(だが、どのグループも同志を救出したい気持ちは同じはず。俺の持つ情報を渡す見

返りにできる限り多くの攘夷浪士達の掩護を得る。それだけの価値がこの情報にはあ

るはずだ。)



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